これは、以前小学校の先生だった筆者の友人から聞いたお話です。「特別な子」だと言われて育った生徒の問題行動に、頭を悩ませる学校の先生たち。しかしその解決の糸口は、意外なところで見つかったようで……?

「うちの子は特別なんだから周りが配慮して」と言って譲らない、問題児の母親

これは私が何年も前に、私立の小学校教諭として働いていた時のことです。受け持っている生徒の中に、Aくんという少し困った男の子がいました。

Aくんは周りの生徒よりも大柄で、いつも他の子が使っている文房具を奪ったり、気に入らないことがあると物を投げたり殴ったりするのです。

もちろん保護者には逐一報告していましたが、Aくんママは「うちの子は『ギフテッド』なんです。特別なんだから周りが配慮してください」と言って譲らないのです。

『ギフテッド』といえば、一般的に「生まれつき人並外れた才能を持っている人」のことを指します。正直、Aくんが本当にギフテッドなのかはよくわかりませんでしたが、何であろうと、他の子供たちに危害を加えることを放ってはおけません。

しかし、いくら呼び出してもAくんママはAくんを叱る素振りもないし、改善も見込めないので、教師たちは頭を抱えていました。そんなAくんに、ある“転機”が訪れるまでは。

問題児に絵本を取られた子供「どうして人の物を取るの?」

ある日、一人で絵本を読んでいたBくんという男の子から、Aくんが絵本を取り上げるところを目撃した私。

「注意しなきゃ!」と私が声をかける前に、BくんがAくんに「どうして人の物を取るの?」と尋ねました。