義父の手打ちそばとの付き合い方
義父は長年そば打ちを趣味としており、毎回自ら打ったそばを届けてくれていました。
しかし、正直なところ、そのそばは美味しくなく、ブツブツと切れる不揃いな麺。子どもたちにも不評でした。でも、せっかく作って持ってきてくれる義父の好意を無下にはできず、いつも「ありがとうございます」と受け取っていました。
突然の転機! 息子のぶっちゃけたひと言
ある日、義父がそばを持ってきたときのこと。
対応した息子が、はっきりと「じいじのそば、あんまり美味しくないんだよね」と言い放ったのです。私は内心「なんてこと言ってくれるんだ!」と思いましたが、同時に「美味しくないって伝えるのも愛情?」とも考えました。
義父のそばが途絶えた日
その後、しばらく義父はそばを持ってこなくなりました。私はありがたく思う一方、義父を傷つけてしまったのではないかと不安に。
そしてそばのことを忘れていた数カ月後、「今日のは特別だ!」と言って義父が再びそばを持ってきたのです。
期待せずに食べてみると……? なんと驚くほど美味しくなっていたのです。「どうしたんですか? 急に美味しくなって」と尋ねると、義父は照れくさそうに答えました。
「実は、妻(義母)からも美味しくないって言われていたんだ。でもそばを打つのが楽しくてね。この前孫にはっきり言われて、料理教室でしっかりそばを習ったんだよ」
義父の努力が実を結ぶ?
義父は、そば打ちの技術を向上させるために、この数カ月努力していたと言います。そば粉と小麦粉の配合比を調整し、水加減や力の入れ方を学び、生地の扱い方を改善したそう。義父はそば打ちの奥深さを再認識し、より一層趣味に打ち込むようになりました。
息子のはっきりすぎるひと言が、義父のそばを美味しく変えるきっかけとなったのです。ときには率直な意見が、予想外の良い結果をもたらすことがあるという貴重な教訓を、息子から学んだのでした。
【体験者:40代・主婦、回答時期:2025年3月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。