シフト制の職場では何か急な用事があったときは助け合いの気持ちで勤務を交代していることが多いのではないでしょうか。しかし理由次第ではホイホイ代われないパターンもありますよね。今回はそんなシフト交代で、意外なトラブルに発展した経験のある筆者の知人、Kさんのお話です。

急なシフト変更を言い出され……

Kさんには当時、長く付き合っている彼氏がいました。

そしてその彼氏がある週末に両親に結婚の挨拶に来ることになり、Kさんはその日に備えて仕事の休み申請をしました。

Kさんの仕事はシフト制で土日が休みではなく、土日に休みを取りたいときは早めに申請する必要があります。

彼が挨拶に来るという絶対外せない用事だからこそ、Kさんは上司にも事情を話して早めに休みを取っていたのでした。

しかしその前日、突然問題が発生したのです。
「明日子どもの卒業式だから、Kさんシフト代わってよ。明日休みでしょ」
急にそう言い出したのは、以前から急なシフト変更を言い出すことが多かったひとりの先輩でした。

その先輩はシングルマザーで、女手ひとつで子どもを育てています。

子育てと仕事の両立で苦労していることはよくわかるので、Kさんはできる限りシフト変更に応じるようにしていたのですが、今回はワケが違います。

「明日は彼氏が両親に挨拶に来るので無理です……」
Kさんがそう答えると、先輩はバカにするようにフンッと鼻を鳴らして言いました。
「なによ、挨拶って言ったって一日中挨拶してる訳じゃないでしょ? 挨拶は夜にしたら昼は働けるじゃない」
めちゃくちゃな理屈にKさんは呆れて物も言えませんでした。

救世主登場!

「えー、〇〇さん(先輩)、卒業式は明日じゃないよね?」
話が聞こえていたのか、Kさんと先輩の上司が衝立の後ろからひょっこり顔を出しました。
「うちの子の卒業式は来週だから、一緒でしょ。てか卒業式の日って前からわかってるし、あなたもう休み取ってるよね?」
実は上司の子と先輩の子は同じ学校に通っているので、明日が卒業式だというのは先輩の嘘であるとわかりました。
「あ、そうでしたね。勘違いしてました」
先輩はケロッとした顔でそう言いました。
「でもほんとに、明日は休みたいんだけどなあ……」
先輩はKさんにわざと甘えるような口調で言いました。
「卒業式じゃないのに? 仕方ないなあ、なんか用事あるなら私が代わるわよ。だからKさんはそのまま休んでね」
上司はKさんに目くばせをして、自分がシフトを代わると言ってくれました。
「ほんとですかぁー!? ありがとうございます!」
上司の計らいで無事にKさんもその先輩も、休みを取ることができたのでした。

そして翌日Kさんは無事に彼の挨拶を終え、結婚に向かって本格的に進んでいくことが決まりました。

「あれ、〇〇先輩来てない」
休みが明けても、先輩が一向に出社してこないことに気づいたKさん。シフト変更に応じてくれた上司に聞いてみると、意外な事実がわかりました。

「え、不倫!?」
なんとその先輩は社内の人間と不倫をしていて、シフトを上司に代わってもらった日にその不倫相手とデートしているところを向こうの奥様に見つかってしまったとのこと。

そして奥様が会社に社内不倫の告発をしたために、会社を巻き込んだ大騒動になったというのです。
「だからしばらく謹慎してるの。多分どっちも異動になると思う。あの日休まなきゃよかったのにね 」

Kさんは呆れ果て、その先輩が再び出社してきたときもかける言葉がありませんでした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。