筆者の話です。高校時代の先輩から久しぶりに連絡があり、食事に誘われました。懐かしい再会を心待ちにしていましたが──

到着した先はまさかのマンション

待ち合わせ場所で先輩と合流すると
「移動するからついてきてね!」
と言われ、私は自分の車で後をついていきました。
(どこのお店だろう?) と期待しながら走っていると、どんどん街中から離れていきます。

そして、先輩の車が停まったのはレストランではなく、マンションの駐車場。
(ここで食事?) と戸惑いながらも、先輩に促されるまま部屋へ足を踏み入れました。
「ちょっと待っててね」
そう言われて腰を下ろすと、手作りの料理が次々と運ばれてきました。

食事と見せかけた勧誘

(わざわざ作ってくれたのか、ありがたいな) と思ったのも束の間──
「このフライパンで作ったの。すごく便利でね、無水調理ができるのよ!」
料理の説明かと思いきや、話題は調理器具の宣伝にすり替わっていきました。
お互いの近況を語り合うこともなく、先輩はひたすら商品の魅力を語り続けます。

(あ、これは勧誘だな) と察したものの、帰る口実も見つからず、適当に相槌を打ちながら食事を続けるしかありませんでした。

何度も飲まされる水

すると、次はコップを差し出されました。
「この水、おいしいでしょ? 試してみて!」
今度は水の話にすり替わり、浄水器の素晴らしさを延々と語ります。

何度も水を飲まされましたが、正直なところ違いが分かりません。
実は、私の家では普段から水道水ではなく湧き水を飲んでいるため、変化を感じ取ることができなかったのです。

困惑していると、先輩はわざわざ水道水を汲んできて、飲み比べを強要。
(確かに水道水よりはおいしいけれど……)

思い切って
「うちは湧き水なので、必要ないです」
と伝えたところ、先輩は少し不満げな表情を浮かべました。

呆れた再会、その後

(わざわざ水道水まで用意するのか?) と内心呆れながら、適当な理由をつけて、なんとかその場を後にしました。
楽しみにしていた先輩との再会がまさかの勧誘劇になるなんて。

その後何度か連絡がありましたが、先輩の呼び出しには応じず、関係を断つことにしました。
楽しかった高校時代の思い出が、一瞬で色あせてしまった出来事です。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年2月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。