お得なランチセットのある店
当時Eさんのお姉さんは小さな居酒屋を経営しており、そのお店にEさんもよく食事をしに行っていました。
その居酒屋では昼にメインと小鉢が選べる健康的でお得なランチメニューを提供しており、それが人気を呼んで昼も夜も繁盛していたといいます。
「お姉ちゃん! ご飯食べに来たよー」
Eさんは友人を連れて、居酒屋の営業が始まってすぐに店に入りました。
そしてその後、Eさんの隣の席に、女性数人のグループがやってきました。
「ここ、ランチがお得だからよく来てるのよ」
女性のうちの1人がそう言っているのを聞いて、Eさんはうんうんと心の中で頷きました。
というのも、実は昼のランチ営業は採算度外視のメニューで、昼はギリギリでもこのお店の味を知って、夜にもお客さんに来てもらえるよう考えて作っているものだったからです。
気に入ってくれたなら嬉しいな、と密かに喜んでいたEさんは、次の瞬間に信じられない発言を聞くことになります。
まさかの要求に……
「ランチメニューください、人数分」
隣の女性客は注文を取りに来たスタッフに堂々とそう告げたのです。
「申し訳ございません、ランチメニューは昼だけなんです」
「ええー、私たちランチメニュー以外いらないわよ。お酒飲まないし」
スタッフが説明しても、女性客は聞き入れません。
「どうせ食材余ってるでしょ、余ってるのでパパっと作ってくれたらいいだけじゃない。フードロスはいけないから私たちが食べてあげるのよ」
なんという自分勝手な言い分でしょう。さすがにEさんが抗議しようとすると、その前に店長であるお姉さんがやってきました。
「お客さん、うちは居酒屋ですよ。夜にランチなんか出したら儲かりませんし、食材も余ってませんし、フードロスもご心配なく!」
スパッと切り捨て、その女性グループを帰らせたそうです。
ランチメニューがお得だから、というのはわかりますが、いったいどういう目的でお店がランチ営業をしているのかを考えて欲しかったですね。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。