善意から生まれた企画のはずが、先生にいい顔をしたいママ友、B子の大暴走によって、3万円の募金を強制されかけ――!?
イケメン担任へ、猛烈アピールするママ友
私は、小学生の息子をもつ専業主婦です。
息子の担任は、赴任したばかりの若手イケメン、K先生。
PTAのママ友たちには、先生のファンも多いのですが、中でもB子の熱量は猛烈でした。
とにかくアピールがすごく、わかりやすい猫撫で声や過度なボディタッチには、先生も困った様子。
見ているこちらも恥ずかしくなるほどなのです。
3万円募金の強制!?
先日、学校の周年記念の一環で、チャリティーイベントの計画が持ち上がったのですが、B子は真っ先に実行委員長に立候補しました。
チラチラとK先生を見ながら、「みんなで素敵なイベントにしましょう!」と得意気な彼女。
やれやれと思いながらも、イベントを成功させたいのはみんなも同じです。
少しでも困っている人の助けになれば幸いですし、子供たちの考え方にもいい影響を与えることでしょう。
何が理由であれ、B子がやる気になっているのはいいことですしね。
K先生も「子供たちに、募金箱を作ってもらうのはどうでしょう」と積極的に発言してくれました。
すると、これを聞いたB子はパッと顔を輝かせ、
「先生の言う通りです! 多くの困っている方たちの助けになりたいですわ。ね、みなさん、私たちPTAメンバーからも、3万円ずつ募金をしましょう!」と急に言い始めたのです。
鼻息も荒く、目をキラキラさせながらまくしたてるB子の発言に、みんな凍りついてしまいました。
子育て世代の家庭にとって、3万円の募金なんてポンと出せるものではありません。
みんな戸惑ったように顔を見合わせるものの、なんだか反論しづらく、気まずい空気が流れます。
先生の制止に赤面
そのときです。
K先生が、優しい口調ではありますが、毅然とした態度でB子の提案を制しました。
「募金に対して、金額指定をすることは傲慢かもしれません。善意は強制するものではないのですから、誰もが無理なく参加できるようにしましょう」
先生の言葉に、B子は赤面。
「ご、傲慢だなんて……もう、いいです」
それ以来、すっかりやる気をなくしてしまったのか、なんと彼女は実行委員会に顔を出さなくなってしまいました。
チャリティー本来の目的を見失いすぎているB子にはあきれましたが、私たちはみんなで力を合わせ、イベントの準備を進めることに。
子供たちの純粋な善意
無事、チャリティーイベントは大成功。
子供たちも、先生の提案にやる気を出して、可愛い募金箱を作ってくれました。
「困っている人がいたら、自分たちにできることをやろう!」という子供の純粋さに、むしろ大人のほうが学ばされたような気がします。
B子の発言や態度は極端でしたが、私にだって、計算や邪心で行動してしまった経験はありますからね。
結局B子は最後まで来ませんでしたが、もし彼女が子供たちの様子を見ていたら、何か感じるものがあったかもしれません。
そう思うのも、私の傲慢かもしれませんが……。
【体験者:40代女性・専業主婦、回答時期:2024年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。