久しぶりに集合
先日、大学時代の友人グループと久しぶりに会った時のことです。しばらく会っていなかったのもあり、話題は自然とお互いの近況報告になりました。
私はWEBデザイナーとして独立し、それなりに充実した日々を送っています。
「最近はECサイトの依頼が多くて、締め切りに追われる毎日だよ」と話すと、友人の1人、亜由美(仮名)が、「ふーん、WEBデザイナーってなんか地味だよね。私は大手企業で管理職やってるから、そんな小さな仕事の苦労なんて想像もつかないわ」と吐き捨てるように言いました。
私は一瞬、言葉を失いました。楽しい雰囲気は凍りつき、場の空気が重くなります。
友人たちのフォロー
すると、ハンドメイド作家の彩(仮名)が、「私は自分のペースで仕事ができるからフリーランスっていいと思うけどな~」と控えめに言い、フリー記者の理恵(仮名)も「うんうん、私もフリーだけどやりがいあるよ」とフォローしてくれました。
主婦の真奈美(仮名)も「私はパートだけど、自分なりに頑張ってるよ」と苦笑しながら呟きました。
しかし、亜由美はさらに「ハンドメイドなんて趣味の延長でしょ? 記者もフリーじゃ不安定だし、パートなんて主婦の小遣い稼ぎ程度よね? そんな不安定な仕事じゃ、将来が心配だわ」と、今度は全員を見下すような発言!
友人の変化に戸惑い
昔の亜由美は大らかな子だったのに、大企業に勤めているというプライドは性格まで変えてしまったのでしょうか……。
するとその時、普段は物静かな彩が、きっぱり言いました。
「趣味の延長だなんて、失礼だよ。ハンドメイドだって、材料を仕入れたり販売経路を確保したり、すごく努力してるの。仕事に大きいも小さいもないし、それぞれの立場でみんな頑張ってるんだよ」
変わってしまった価値観
さらに彩は「それに、大企業が必ずしも安定してるわけじゃないでしょ? 何が起こるか分からない時代なんだし、人の仕事を見下すより、自分の仕事に誇りを持つことが大切だと思う。みんな自分の選んだ道を一生懸命進んでるんだから」と続けました。
亜由美は真っ赤になり何も言えなくなりました。
ようやくマウントから解放された私たちですが、その日のランチはなんだか気まずいままお開きになりました。
長い付き合いですが、価値観が変わってきて、もうこれまで通りの付き合いはできないのかもしれません。
【体験者:20代・女性、回答時期:2025年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。