筆者の話です。
私には、教育熱心な伯母がいます。伯母は自身も私立中学に進んだこともあり、子どもたちにも高い教育を望んでいました。

伯母の期待といとこの成功

伯母の長男であるいとこは、私より一つ年上。中学受験に挑み、有名な私立進学校に合格しました。
「やっぱり受験は大事よね」 と満足そうな伯母は、次は私に目を向けました。

ある日、伯母の家に遊びに行ったとき、突然こう聞かれたのです。
「で、あなたはどこの中学校に行くの?」

公立中学への進学を伝えた瞬間

私は、地元の公立中学に行くつもりだと答えました。受験勉強をする予定もなく、友達と一緒に進学することしか考えていなかったからです。
すると伯母は、驚いたような顔をして、少し間を置いてからこう言いました。
「うちの一族で、公立中学に行くのはあなたが初めてよ」

その瞬間、私は頭が真っ白になりました。確かに、父も母も私立中学出身です。でも私は、通学時間が長くなることや、友達と離れることに抵抗がありました。
それでも、子どもながらに責任を感じてしまい 「すみません……」 と謝ってしまったのです。

でも心の中では、なぜ親に何も言われないのに伯母に謝らなければならないのかと、モヤモヤが消えませんでした。

1年後、いとこの進路

それから1年後、今度は伯母の娘である私のいとこが中学進学を迎えました。
彼女も公立中学を選びましたが、伯母はいとこにも 「受験をしなさい」 とプレッシャーをかけていたようです。
その後、私の弟も公立中学を選択、伯母は私たち3人には期待することをやめたようでした。

ところが、いとこは県立高校を経て、国立大学に合格しました。すると伯母は、それ以降「公立中学出身」であることを何も言わなくなりました。
進路の違いが必ずしも教育成果に直結するわけではないのです。

進路より大切なこと

「進路よりも、そこでどう頑張るかが大事なんだ」
そのことにようやく気付いてくれたのかもしれません。
親や親せきの見栄で学校を選ぶのではなく、大切なのは学ぶ心。
どこに進むかよりも、そこでどう過ごすかが大切――そう気付かされた出来事です。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年2月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。