パートの面接で
Aさんはある日、雑貨を扱うお店でパートの面接を受けることになりました。
そのお店は小さいながらも、駅が近いので人の出入りが多く、市内に数店舗を構えています。
「採用されるといいな…… 」
Aさんは履歴書を持って、何かあってもいいように一時間前にお店の近くに着いて、気分をリラックスさせようと喫茶店でお茶を飲んでいました。
そして面接の30分前になり、Aさんが緊張でソワソワしていると、面接予定のお店から電話がかかってきたのです。
「すみません、面接担当の責任者が遅れているので…… 」
その電話は、面接の時間を1時間ずらしてほしいというものでした。
「はい、わかりました」
面接される側が遅れるのではなく、面接する側が遅れるのは珍しいと思いながらもAさんは了承しました。
面接が始まったものの
「すみません、面接のお約束をしていただいたAです…… 」
Aさんが言われた時間に店舗に行くと、店員の女性がすまなそうな顔で面接官のオーナーがまだ来ていないことを伝え、事務所で座って待つことに。
「本当に申し訳ございません、間もなく参りますので…… 」
事務所には数人のスタッフがいて、皆一様に困った顔をしています。
「いえいえ」
Aさんはオーナーというからにはきっと忙しいんだろうな、と思って待っていました。
そして十数分後、事務所のドアを開けて入ってきたのは足元のおぼつかない、千鳥足の男性でした。
「どうも、私が面接します」
酒臭い息でその男性が言い、近くのスタッフが男性に慌ててマスクを着けさせました。
オーナーはどうやら二日酔いで面接に遅れたようで、まだ酒が残っているのかろれつも回っていません。
あげくの果てにはAさんの全身をじろじろとなめ回すように見て、「美人ですね、スタイルもいい」など不快な発言も。
完全に酔っぱらっている様子にAさんは不信感を募らせ、後日面接には受かったという連絡があったけれどお断りしたそうです。
酔っぱらった状態で面接なんて言語道断ですよね。非常識すぎます。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2024年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。