離れていく夫婦の心
結婚15年目。夫とは会話も減り、どこか他人行儀な関係になっていました。
ある日の夕方、いつものように私が食事の準備をしていた時です。
「え、またこのメニュー?」と夫が言いました。
その日は私の得意料理で、結婚記念日にも何度も作ったことがある思い出のメニューでした。何でもない日にも作ってほしいと頼んでくるほど、以前は夫が喜んでくれた料理だったのに……。
カッとして思わず飛び出してしまい……
「これの何が悪いの?」と聞くと、夫は「いつも同じようなメニューで飽きた」と言い放ちました。
カチンときて、思わず「毎日作ってる人にその言い方はないんじゃない?」と言い返すと、「はぁ……もういいよ」とめんどくさそうな態度。
夫はそのまま逃げるように寝室に行ってしまいました。
頭に血がのぼり、私はそのまま咄嗟に家を出ました。
夫の顔も見たくない、この家にもいたくない! そんな気持ちでいっぱいでした。
夫の様子に呆れ果てる
カフェやファミレスをはしごして時間を潰し、ようやく冷静さを取り戻した私は、「一体何をやっているんだろう」と少し恥ずかしくなりました。
そろそろ帰ろう……そう思った時には、もう夜の10時過ぎ。恐る恐る玄関を開けると、家は真っ暗でした。
夫はというと、なんとベッドでスヤスヤと寝ています!
どうやら、寝室に行ったあとそのまま寝てしまったようです。私が出て行ったことにも、何も食べていないことにも、気付いていない様子でした。
最後の忠告に夫は?
私は夫の枕元に近づき、冷めた声でこう言いました。
「私がいなくても、気付きすらしないのね。もしかして、私がいないほうが楽? だったらいっそ、いなくなってもいいのかもね」
ハッと目を覚まし、「え? あれ? どうかした?」と寝ぼけながら呟く夫。
私は、家出した理由、夫の言葉に傷ついたこと、そして、最近特にないがしろにされていると感じていることを全て伝え、「このままじゃ一緒にいる意味がない」と、ついに離婚も仄めかしました。
夫はようやく事態の深刻さを理解したようで、青ざめた顔で「ご、ごめん! 俺が悪かった!」と謝ってきました。
それ以来、夫は積極的に家事を手伝ってくれるようになり、以前より関係は良くなってきています。
あの日の家出と、離婚という言葉は、夫が変わるきっかけになったようです。たまには夫婦の危機も必要なのかもしれませんね♪
【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2024年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。