パパっ子の娘
2歳の娘は夫のことが大好きです。夫が仕事から帰ってくると、玄関まで猛ダッシュ! 両腕で足にしがみつき、「パパ!」と満面の笑み。
その可愛らしい光景に、見ているこちらも顔がほころびますが、同時に胸の奥にチクリと寂しさを感じてしまうのも事実です。
私だって娘のために絵本を読んだり、公園で一緒に遊んだり、毎日一生懸命頑張っているのに……。
私じゃダメなの?
夫が家にいると、娘はまるで私を避けるように夫にべったり。自分が透明人間にでもなったような、切ない気持ちになります。
家族で公園に行って遊んでいる時に、私が手を差し伸べても夫の方へ走っていきますし、なんでも「パパがいい!」と言う娘の態度に、私は正直少し傷ついていました。
高熱を出した娘
そんなある日、娘が高熱を出してしまいました。
いつも元気な娘が、ぐったりと横たわっている姿を見るのは、辛いものです。
解熱剤を使ったものの、なかなか熱は下がりません。私は娘の傍らに付き添い、汗を拭いたり、氷枕を取り替えたりと、ひたすら看病を続けました。
その後、夜中に目を覚ました娘。
夫も娘を心配してまだ起きていたので、「パパ呼んでこようか?」と聞きました。すると、娘はか細い声で「ママがいい……」と一言。
私は驚きました。いつもパパ、パパと言っている娘が、こんな弱った時に私を求めてくれた。胸の奥がぎゅっと締め付けられるような、不思議な感覚でした。
頑張りを認めてもらえた
少し離れた場所で見ていた夫が、静かに近づいてきて、優しく微笑みながら言いました。
「パパが好きって言ってても、1番信頼して安心できるのはママなんだね」
その言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなりました。
確かに娘は普段、パパに甘えていますが、本当に辛い時、安心したい時は私を求めてきます。それは、私が毎日娘と向き合い、些細な変化にも気づけるよう、娘のことを1番理解しようと努めてきたからかもしれません。
つまらないヤキモチを焼いていた自分が少し恥ずかしくなりました。娘にとって、私も大切な存在なのだと改めて感じました。
そして、夫の言葉は、毎日娘と向き合ってきた私の努力を認めてくれたようで、とても励みになりました。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2024年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。