はじめに
私は一児の母です。
最近、娘がピアノを習いたいと言い始めたことがきっかけで、昔の自分を思い出しました。
子どもには、好きなことに挑戦させて、楽しく学んでほしい。
そう思うのが親心だと思うのですが、私の母は違ったのです。
自分の人生は、母の所有物
「ピアノを辞めるなんて、絶対に許さない!」
毎日のように母から怒鳴られ、泣きながらピアノに向かう日々。
ピアニストになる夢を叶えられなかった母は、私に志を継がせたかったようです。
本当はスポーツに打ち込みたかったのに、「将来、あなたは有名なピアニストになるのよ」と決めつけられ、私の意志は聞いてもらえませんでした。
結局、音楽大学に進んだ私は、母の言うままに音楽サークルに入ることに。
その頃には、自分の人生は母の所有物のように感じていました。
「音楽って楽しい!」
しかしこの音楽サークルへの入会が、結果的に、私に自由な気持ちを取り戻してくれました。
新入生歓迎会に行った日は、今でも忘れられません。
ロックバンドを組んだ先輩たちが、ステージ上で生き生きと音を奏でる姿を目の当たりにした私は、その演奏にたちまち魅了されてしまいました。
これまで経験したことのない解放感とともに、「音楽って楽しい!」と思えたのです。
このサークルではクラシックのほか、ポップスやロック、ジャズなど様々なジャンルに挑戦することができ、仲間とともに演奏を心から楽しみました。
気づけば私は、暇さえあれば鍵盤に向かうようになっていて、大嫌いだったはずの音楽は、人生に彩りを与えてくれるものに変わっていました。
親としての願い
母の願い空しく、ピアニストにはならなかったのですが、娘が生まれてからも、よく家でピアノを弾いていました。
そんな私の姿を見て、娘もピアノに興味をもったのでしょう。
「楽しく続けられる限り、応援するよ。でもね、別にやりたいことが出てきたら、すぐに教えてね。音楽は楽しむもの。無理だけはしないでよ」
子どもの「やりたい」という気持ちを大切にし、その情熱が続く限り、優しく見守る。
それが、今の私にできること。
娘が自分の色で、美しい人生を彩ってくれるのが、親として一番の願いです。
【体験者:30代女性・主婦、回答時期:2024年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。