SNSに夢中で、仕事をサボる部下
「また、B子がサボってる……」
部下の様子を見ながら、私は深いため息をつきます。
入社2年目のB子は、今日もSNSに夢中で、仕事が進みません。
もちろん注意するのですが、「は~い、すみません」と言うだけで、同じことの繰り返し。
もう頭を抱えるしかありませんでした。
「あなたがリーダーよ!」
ある日の経営会議で、社長から「うちの会社はSNS発信力が弱い」と指摘されました。
数年前、流行りに乗ってショート動画に特化したSNSのアカウントを作ったものの、小規模な会社なので、その運用にまで手が回っていなかったのです。
「そうは言っても、マーケティングに詳しい人間なんて――いた!」
私は思わず、声をあげました。
さっそく私は、SNSマーケティングチームを立ち上げ、B子をリーダーに任命しました。
「えっ、私が……リーダー!?」
「そうよ。あなたはSNSが得意なんじゃないかと思って。好きこそものの上手なれ。何が流行っていて、どうすれば集客できるか。せっかくなら、あなたの感覚に任せてみたいわ」
ダメで元々。どうせ仕事をサボる彼女と、人気のないアカウントなのです。
大仰に言って見せたものの、正直そこまでの期待はしていませんでした。
実は優秀な人材だった……!?
ところが、彼女の仕事ぶりは驚くべきものでした。
B子は毎日、会社の商品やサービスを独自の視点で紹介。
若い女性向けの親しみやすい投稿は瞬く間に拡散され、フォロワー数は3ヶ月で10倍になったのです。
「あの投稿を見て来ました!」というお客様も急増し始めました。
今までのB子とは打って変わって、生き生きと仕事に取り組む姿を見ると、この人材配置は正解だったと思う反面、振り返るとこちら側にも反省すべき点があったなと思わされました。
きちんと目標数値を設定し、そのための道筋を立てて、真摯に仕事に取り組めるB子は、本来優秀な人材だといえます。
成功体験をすることで、こんなにもやる気を出す彼女は、良くも悪くも素直でまっすぐ。
前までは、自分が期待されていないと感じ取り、仕事へのやる気をなくしていたのかもしれません。
今では頼もしい戦力に
かつて頭痛の種だったB子が、今では頼もしい戦力として会社を支えています。
この功績のおかげで、B子は人事評価で最高評価を受け、ますますやる気に満ち溢れています。
上長である私の評価も上がったのですから、彼女には感謝しなくてはいけませんね。
「問題児」と決めつけるのではなく、その人の長所や、持ち味を活かせる場所を見つけることの大切さを、この件で再認識しました。
みなさんの周りにも、実は隠れた才能の持ち主がいるかもしれませんよ。
【体験者:40代女性・会社員、回答時期:2024年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。