職場の応援を受けつつも、次第に同僚たちの態度は冷たくなり、孤独感に押しつぶされそうに。
そのとき、ある気づきがA子を変えるきっかけになりました──。A子から話を聞きました。
介護が突然始まった日常
A子の70代の母親に介護が必要になって以来、日中の2、3時間、パートを抜けて病院への送迎や買い物を行う日々がスタートしました。
頼れる兄弟もいないなか、A子は母親のために精一杯頑張ろうと決意。
しかし徐々にその負担は精神的にも肉体的にも重くのしかかるようになりました。
最初のうちは、職場の同僚たちも「大変だね」「お母さんのところに行ってあげて」と理解を示してくれたものの、次第に職場の空気が微妙に変化。
徐々に冷たくなり、ついには「これ以上仕事を抜けられると困る」と強い口調で指摘されるようになったのです。
A子は「母親を見捨てろ」と言われているようで怒りや孤独感に押しつぶされそうになっていました。
心に刺さった友人からの一言
そんな中、A子は幼馴染の友人に電話で悩みを打ち明けることに。
すると友人は彼女の話を親身に聞いたうえで、こう答えました。
「同僚の人たちに、ちゃんと感謝の気持ちを伝えてる? 人の好意に甘えすぎて、それが当たり前になっていない?」
この言葉を聞いたA子はハッとしました。
自分がどれほど大変かばかりに囚われて、周囲のサポートや理解に対して感謝を伝える余裕を失っていたことに気づいたのです。
地域のサポートをフル活用
友人の助言を受け、A子は地域の介護サービスについて調べ、利用するようになりました。
これまでは自分1人で抱え込んでいましたが、思い切って外部の力を借りることで、心に少し余裕が生まれるように。
さらに、職場の同僚たちにこれまでの迷惑を素直に謝罪し、「これからは職場に迷惑をかけないように努めます」と感謝の言葉を添えて改めて気持ちを伝えました。
その結果、同僚たちとの関係は徐々に改善。
職場の雰囲気も明るさを取り戻したのです。
感謝の気持ちが生む前向きな変化
友人からのアドバイスをきっかけに、A子さんは自分の苦労ばかりに目を向けるのではなく、周囲の支えへの感謝を改めて実感しました。
介護と仕事を両立するのは簡単ではありませんが、周囲の協力を得るには、日頃から感謝の思いを伝えることが大切ですね。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Yumeko.N
元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。