たとえ家族でも、相手の考えていることを全て理解するのは難しいですよね。時には誤解したまま、長い時間がたってしまうこともあります。今回は、1年ほど前に夫を見送った知人のエピソードをお届けします。
仕事人間の夫
昔から夫は典型的な仕事人間でした。子どもが小さい頃も、取引先とのゴルフや接待でいつも家を空けていて、ほとんど家族の時間はありませんでした。
子どもが巣立った後はますます会話が減る一方。もともと寡黙な人だということもあり、私が話しかけても「ああ」と生返事が返ってくるだけです。
私は諦めて、夫を「家族より仕事が大事な人」と決めつけていました。
退職直後、夫の病気が発覚……!
そんな夫が突然倒れたのは、定年退職して少したった頃です。医師から告げられたのは「余命は長くても半年でしょう」という信じられない言葉……。私は茫然としました。
夫に付き添いながら結婚生活を振り返ると、どうしても「もっと、家族の時間を持ちたかった」と思ってしまい、楽しい思い出より寂しい記憶ばかりが蘇ってきます。