友情の大切さを改めて感じられるエピソードを、筆者の知人A子が聞かせてくれました。
突然の別れ、心が壊れた夜
A子は1年ほど付き合った大好きな彼に、ある日突然こう告げられました。
「気持ちがなくなった」と。彼女にとってそれは寝耳に水で、心にポッカリ穴が空くどころか、奈落の底へ突き落とされたような衝撃でした。
ショックのあまりA子は涙を流しながらコンビニへ向かい、手当たり次第にお酒を買い込みます。
帰宅するとそのお酒を次々と開けては飲み干し、悲しみを忘れようと必死でした。
しかし現実は残酷で、酔いが回るほどに心の痛みは増していきます。
体がフラフラになり、ついに倒れ込んでしまったA子。そんな中思い浮かんだのは、親友B子の顔でした。
「私、もうダメかも……」と弱々しい声で電話をかけた彼女。震える手を持ち上げるのが精一杯でした。
親友の冷静な行動が救った命
電話の向こうで、A子の泣き声を聞いたB子は即座に駆けつけます。
部屋のドアを開けると、床に転がる親友の姿が。
「何やってんの!」と叫ぶB子でしたが、A子の青白い顔を見てすぐに状況を把握。
急性アルコール中毒の危険を感じたB子は冷静に救急車を呼び、救急隊が来るまで「絶対大丈夫だから!」とA子を励まし続けました。
倒れているA子の手を握りながら「生きててよ!」と声をかけ続けるB子の必死な様子。
それはA子の心の奥深くに届いていました。
病院での朝、そして気づき
翌朝、病院のベッドで目を覚ましたA子。
まず目に飛び込んできたのは、ベッド脇で椅子に座ったまま寝落ちしているB子の姿でした。
その瞬間、A子は「B子が助けてくれたんだ」と胸が熱くなり、じんわりと感謝の気持ちが湧いてきました。
でも、ふと自分の姿を見ると驚愕の事実が。
なんと、大人用のオムツを履いていたのです。
「ウソでしょ!?」と顔を覆うA子。目を覚ましたB子は「何言ってんの、あんた! 生きてるだけマシだから!」と笑い飛ばしました。
その言葉に思わず吹き出し、久しぶりに心が軽くなるのを感じました。
涙とお酒の飲み過ぎでパンパンにむくんだ自分の顔を鏡で見たとき、A子は「本当に馬鹿なことした」と反省。
そして、命を守ってくれたB子に対して、改めて謝罪と感謝の気持ちを伝えました。
新しい一歩を踏み出す決意
この出来事を経て、A子の心に変化が生まれました。
それまで「あんなに好きだった彼を失った自分はもう終わりだ」と絶望していましたが、なぜか病院で目覚めたときには彼に対する未練が薄れていることに気づいたのです。
それ以上に「B子がいてくれて良かった」という思いが心を満たしていました。
【体験者:20代・女性主婦、回答時期:2024年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Yumeko.N
元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。