専業主婦歴10年
新卒で入った企業に8年務め、出産を機に退職しました。できるだけ早く社会復帰したいと思っていましたが、その後2人目も産まれたことで、あっという間に時間は流れていきました。
さすがにこのままでは経済的にマズいと思い、下の子が小学校に入学するタイミングで本格的に職探しをスタート。
しかし、ブランクが長かったこともあり、なかなか採用の返事はもらえませんでした。「どうせ私なんて雇ってもらえない」と諦めかけた時に、今の会社が私を拾ってくれたのです。
事務パートとして復帰
10年ぶりに事務パートとして働くことになった私。なんとか採用されて安心したのも、つかの間のことでした。10年のブランクは自分が思っていた以上に長かったのです。
若かった頃と比べ明らかに物覚えが悪く、不慣れな仕事でミスを連発する日々。
それが原因で、イジワルで有名なA先輩から「専業主婦の感覚が抜けていないんじゃない? 正直足手まといなんだよね」などと言われ、毎日舌打ちをされるようになりました。
私の心を動かした上司の言葉
「やっぱり私が働くなんて無理。専業主婦に戻った方がいいのかも」
Aさんの言葉にショックを受け、休憩室でひとりメソメソと泣いていた私。そのとき上司のBさんが声をかけてくれたのです。
「またAに何か言われたのね。あの子はパートさんを見下すのが趣味なのよ。気にすることないわ」
「いえ、私が悪いんです。やっぱり10年も働いていない主婦なんて使い物になりませんよね」
落ち込み続ける私に、Bさんはこう言ったのです。
「大丈夫よ。私もそうだったから、あなたの気持ちが分かるわ。なかなか頭がついていかないのよね。今は辛いだろうけど、まずは3か月頑張ってみましょう。そうすれば仕事に慣れるから」
私はこのBさんの励ましに心を打たれ、仕事を続ける決意をしたのでした。
報われた努力
それから数年後、真面目に仕事に励んだ私は正社員になりました。
さらに今回の人事異動で、Aさんより上の立場に昇進することが決定。最近はAさんが私に嫌味を言ってくることもなくなりました。あのとき仕事を辞めないで本当に良かったと思っています。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2024年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:花澤ひかる
主婦ライター。ママ友たちからの悩みを聞くうちに、この声を世に届けたいと、ブログなどで活動を開始し、現在はltnライターに転身。主婦目線を大事に、ママ世代へのフィールドワークと取材を行い、そのリアルな思いをコラムにすることをライフワークにする。