小学生の息子さんをもつA子は、そのマイペースさに気苦労が絶えないそう。しかし、親には見せない我が子の一面を知って――。小学生だって、家や学校など徐々に広がっていく小さな社会の中で、日々奮闘し、成長しているんだなと胸打たれたエピソードです。

まるで王様!? マイペースな息子

「もー! また靴下を脱ぎっぱなしにして!」
玄関に散らばった靴下を拾いながら、私は深いため息をつきました。

小学1年生の息子は、とにかくマイペース。
家ではまるで王様のように振る舞い、「宿題しなさい!」と言えば「あとでやるー」と返事だけ。お片付けを促せば「疲れたー」とベッドに転がり込む始末です。

私の言うことなど、まるで右から左へ抜けていくかのよう。

「集団生活で、この子は大丈夫なのかしら……」
私は我が子を案じ、常に頭を抱えていました。

初めての家庭訪問

そんなある日、小学生になって初めての家庭訪問が行われました。

息子のことです。
集団の輪を乱していると注意を受けたり、家庭での教育について指導が入るのでは……。
そう身構え、私はカチコチに緊張しながら先生を迎えたのです。

息子が、みんなのお助けマン!?

「お母さん、息子さんは、クラスのみんなからとても頼りにされている、リーダー的存在なんですよ」

「えっ?」
先生の言葉に、思わず耳を疑いました。うちのわがままボーイが?

「給食の配膳で困っている子がいると、さっと手伝いに行くんです。体育の着替えが遅い子が焦らないよう、見守りながら待ってあげたり。意地悪してしまう子から、気弱なお友達をかばうこともあります。みんなのお助けマンですよ」

家では想像もできない息子の様子を聞き、私は目を丸くしました。
言われてみれば、近所の小さな子たちと遊ぶときも、意外と面倒見がいいような。
でも、あの子がまさかクラスでそんな風に過ごしているだなんて――。

自慢の息子

「家ではあんなにマイペースなのに。子供は子供なりに、周りを思いやりながら、小さな社会で立派にやっているのね」
その晩、私は夫と話しながら、あたたかく、誇らしい気持ちになりました。

息子の「わがまま」だと思っていた、自分の意見をはっきり言う性格は、人を助ける勇気にもつながっているのかもしれません。

相変わらず靴下は散らかしっぱなしの我が子ですが、私にとっては自慢の息子です。

【体験者:30代女性・専業主婦、回答時期:2024年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。