反抗期に突入した息子
中学に入学してからというもの、息子はまるで別人になりました。男の子の反抗期について、先輩ママから話は聞いて覚悟はしていたけれど、まさかここまでとは……。
以前は学校のこと、友達のこと、好きなアニメのことなど、何でも話してくれた息子が、最近はろくに口もきいてくれません。
「今日、学校どうだった?」と聞けば、「別に」
「晩ご飯、何がいい?」と聞けば、「何でもいい」
何を聞いても「うるさいな」「分かってるって」と素っ気ない返事ばかり。
家族で過ごす時間も少なくなり
自分の部屋に閉じこもって出てこないことも多くなりました。
以前はリビングで一緒にテレビを見たり、ゲームをしたりしていたのに、今は自分の世界にこもっています。
ノックをしても無視か、「うるさいなぁ!」と怒鳴られるだけです。
反抗期は成長過程で必要なことだと頭では理解していても、我が子の変化を受け入れるのは簡単ではなく、悩んでため息ばかりの日々が続きました。
息子の口から思いがけない言葉が!
そんなある日、いつものようにリビングでため息をついていると、突然息子に「大丈夫?」と声をかけられました。
反抗期で私を避けていた息子が、私の様子を気遣ってくれたのです。
思わず「いや、あなたのせいだよ!」と突っ込みたくなりましたが、こみ上げてくる感情を抑えきれず、思わず涙が溢れてきました。
それを隠して「ちょっと疲れてるだけだよ」と答えると、息子は少し照れくさそうに「無理しないでね」と一言。
たった一言でしたが、その言葉に込められた優しさに胸がいっぱいになりました。
反抗期でも息子は息子
反抗期とはいえ、親を心配する気持ちはちゃんと持っているんだ……。そのことに気づき、私はホッとしました。
息子は私を避けているのではなく、自分自身と葛藤しているだけなのだ。そう思うと、気持ちが少し楽になったのです。
この出来事があってから、私も気持ちに余裕ができて、息子との関係も少しずつ改善してきたように思います。
以前のようにペラペラと話してくれるわけではないけれど、時々、学校であった出来事を話してくれたり、以前のように一緒にテレビを見たりするようにもなってきました。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2024年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。