「一緒に起業しない?」
数ヶ月前、高校時代からの親友A美から突然電話がかかってきました。
内容は「一緒に起業しない?」というもので、事業内容はA美が得意とするハンドメイドアクセサリーの販売。
私もアクセサリー作りは好きだったので、最初はA美の誘いに心が躍りました。
冷静に考えると……
しかし、事業計画を詳しく聞くうちに、私の高揚感は急速にしぼんでいきました。
初期投資額が高額で、リスクも大きい。
銀行員として安定した生活を送っている私にとって、今の会社を辞めてまで挑戦する勇気は出なかったのです。
「ごめん、今回は見送らせて」
A美にそう伝えると、電話口のA美の明るい声が一瞬にして曇りました。
「何で? せっかくのチャンスなのに!」
食い下がるA美に、私は正直に理由を打ち明けました。
今の仕事は安定していて、辞めるのは怖い、と。
激怒する親友に距離を感じてしまい
するとA美は激怒!
「考え方が古すぎる! 挑戦しないなんて情けない!」
そして「もういい! 1人でやる!」と言い放ち、電話は一方的に切られてしまいました。
A美の剣幕に恐怖を感じ、しばらく私から連絡するのをやめることに。
それから数ヵ月後、街で偶然A美に会った時も、気まずさで目をそらし、通り過ぎようとしたのですが……。
呼び止められて話を聞くと?
その時、A美が私を呼び止め、「あの時はごめん。言い過ぎた」と謝ってきました。
驚いた私が「う、うん、もういいよ」と、ぎこちなく答えると、A美は少しうつむき加減に、「実は、一人で起業するのは大変で……一緒にやらなくてもいいから、相談にだけ乗ってくれない?」と切り出しました。
私は銀行員として培ってきた知識を総動員し、A美にアドバイスしました。
資金繰り、販路拡大、在庫管理など、A美の抱える悩みに対して、具体的な解決策を提案したのです。
アドバイスの結果
A美は私の話を真剣に聞き、1つ1つ実行に移していきました。
その甲斐あってか、事業は徐々に軌道に乗り始め、今ではSNSでも話題になっています。
「本当にありがとう! あなたのおかげで助かった」
A美の感謝の言葉は、私の心に温かく響きました。
おそらくあの時はA美もかなりプレッシャーを感じていて、その状態で私に突き放されたように思えてショックだったのでしょう。
一時的に関係は悪化しましたが、最終的にはA美を助けることができて良かったと思っています。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2024年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。