学校へ行きたくない
私の息子は小学校3年生の2学期、急に「学校へ行きたくない」と言い出しました。
最初は1~2日休めば済むかと思っていたのですが、学校へ行けない状態が1週間、1ヶ月と長引き、ついには全く学校へ行けなくなってしまったのです。
何を聞いても話してくれず、学校側も理由はわからないという始末。
私はどうしたら良いのかわからず、焦る気持ちとモヤモヤした気持ちを抱えながら生活していました。
専門家
あるとき、日頃お世話になっている小児科の先生に会う機会があり、先生に状況を話して相談すると、「私の大学の同期に小児精神科医がいます。紹介しますので、行ってみたらどうですか?」と小児精神科医の先生を紹介してくれました。
息子は気が乗らない様子でしたが、紹介されたクリニックへ行ってみると、担当のT先生はとても優しそうで穏やかな話し方をする人。
息子もホッとした様子で、診察を受けることになりました。
救われた言葉
T先生は息子との面談の後に、私とも話をする機会を設けてくれました。
診察室で椅子に座ると、T先生が開口一番「お母さん、無理に学校へ連れて行かなくて偉かったですね。」と言ってくれました。
T先生曰く「不登校というのは心が疲れている状態で、本人のせいではないんですよ。」とのこと。「疲れたら大人だって休みたくなるでしょ? 気持ちが元気になったら行けるようになるから大丈夫です。」と言われ、気持ちがとても落ち着いたのです。
先生とのお別れ
その後、T先生は病気で他界してしまい、診察を受けることはできなくなってしまいました。
それでも、あのときにT先生にかけてもらった言葉のおかげで、息子を見守ることができ、中学生になったタイミングで不登校を解消することができたのです。
息子の不登校は、結局イジメが原因だったのですが、親にも言えないことをT先生には話せたそうです。
『精神科』という場所に少し抵抗があった私ですが、受診してT先生と出会えたことで、親子共に救われたと思っています。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2024年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。