親を亡くす年齢だと自覚していても、実際に『そのとき』を迎えると思っていた以上にショックを受けるものです。これは筆者が実母を亡くしたときのお話。まだ小学生だった息子がかけてくれた言葉をご紹介しましょう。

大きなショック

私の母は「少し体調が悪い。」と言って病院に行き、入院してから1週間ほどで他界してしまいました。
年齢的にもある程度覚悟はしていましたが、あまりに突然だったため、私は大きなショックを受けてしまい、なかなか気持ちの整理をつけることができませんでした。

「もっとこうすれば良かった」「あんなこともしてあげたかった」と後悔ばかりが浮かんできて、家族の前で何度も涙を見せるようになってしまったのです。

息子の言葉

ある日、小学生だった息子が学校から帰ってくると、私にこんな話をしてくれました。
「ママ、天国ってね、痛いとか苦しいとか病気がないんだって。病気だった人も元気になって、いっぱい楽しいことしてるんだって。だからばぁばは楽しんでるんじゃない?」

確かに、母は若い頃から大きな病気をいくつも経験し、息子が生まれてからも入退院を繰り返すような状態でした。
息子は「ばぁば、いつもお薬たくさん飲んでたでしょ? これでお腹がいっぱいになっちゃうのよって言ってたけど、今はもうお薬も飲まなくていいし、身体も痛くないよ、きっと。」と言いました。

きっと今頃は

息子は母の具合の悪い様子を見続けていたので、子どもながらに心配していたのでしょう。
私が「じゃあ、ばぁばは楽になったのかな?」と言うと「きっと今頃はやりたかったこといっぱいやってるんじゃない?」と涙目で話してくれました。

後日、担任の先生から聞いた話によると、息子が「おばあちゃんが死んじゃって、ママが泣いてばっかりいるんだ。」と相談したそうです。
そのときの先生の答えが、息子のかけてくれた言葉だったことがわかりました。

ありがとう

急に母を亡くしたショックはとても大きかったですが、息子や担任の先生のあたたかい言葉にとても励まされました。
あちこち痛くて、大きな病気ばかりで辛い思いをしていた母。
今頃はやりたくてもできなかったゴルフや、旅行を楽しんでいると良いなぁと思っています。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2024年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。