みんなが気持ちよく働ける平和な職場が理想ですが、現実はそうもいきませんよね。今回は、知人が職場で体験したお話をご紹介します。仕事内容をバカにされていた知人が、思わずスカッとした出来事とはいったいなんだったのでしょうか?

店舗改装で予想外の事態に

店舗が10周年を迎えたタイミングで、大規模な改装が行われました。最新設備の導入に伴い、6台あった有人レジは1台になり、他はすべてセルフレジに変更されたのです。

「えっ、レジがなくなるの? 私たちはどうなるのよ!」

戸惑うベテラン勢に下された指示は、人手の足りない「品出し・清掃」の兼任でした。慣れ親しんだ持ち場を離れることに、戸惑いや不満を隠せない様子の方もいらっしゃいました。

簡単な仕事なんかじゃない

実際に業務が始まると、状況は一変しました。「誰でもできる」と豪語していた彼女たちは、広い店内のどこに何があるか覚えきれず、陳列一つに何十分もかかってしまいます。

「すいません、この洗剤の詰め替えはどこ?」
お客様からの質問に「えーっと……」と立ち尽くし、効率の悪い掃除の手順を店長から厳しく指導される場面も増えていきました。

「こんなに歩き回るなんて聞いてないわよ……腰が痛い……」
ため息をつく彼女たちを見て、正直「ほら、簡単じゃないでしょう?」という意地悪な気持ちが芽生えそうになったのも事実です。

歩み寄りの先にあったもの

けれど、必死にメモを取りながら慣れない作業に食らいつく彼女たちの姿を見て、私の中にあったトゲが少しずつ溶けていくのを感じました。

(職種が何であれ、新しいことを覚える大変さはみんな同じなんだ……)

私は思い切って、効率的な品出しのコツや、お客様に聞かれやすい商品の場所をまとめたメモを共有しました。すると、最初は頑なだった彼女たちからも「レジとは違う体力の使い道があるのね」「いつもこんなに動いてくれていたんだね」という言葉が返ってくるようになりました。

自分の仕事の専門性を理解してもらえたことは、何よりの収穫でした。「レジが偉い」とか「掃除が下」とか、そんなものはただの思い込みに過ぎなかったのです。お互いの立場を経験したことで、店内のチームワークは以前よりも少しだけ温かいものになった気がします。

【体験者:40代・女性パート、回答時期:2024年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Kato Rira
シナリオライターとして活躍するも、出産と育児を機に、フリーライターに転身。バリキャリから、家庭と仕事の両立への転換を経験し、その思いをコラムに執筆。現在はママ、PTA、職場と家庭のバランスなどを主なテーマにコラムを執筆中。