家族を介護するご家庭が増えてきている現代、大変な思いをしている人も多いでしょう。介護には辛く苦しい時間もあるからこそ、お世話する側の方々が報われてほしいと願うばかりです。
今回は筆者の知人A子から聞いた、介護の心温まるエピソードをご紹介します。
今回は筆者の知人A子から聞いた、介護の心温まるエピソードをご紹介します。
お正月の出来事
そんななか迎えた今年のお正月、夫も息子2人も帰省してきて、久しぶりに賑やかな我が家。
夫に母を任せて息子たちと3時間ほど出かけて帰ってきたら、びっくりする出来事があったのです!
「何このいい匂い」
「もしかして、栗きんとん?」
「おばあちゃんおせち作ったの!?」
なんと夫に無理を言って台所に立った母。足腰が弱くなっていた母は1時間立っているのもやっとのはずだったのに、3時間もかけておせち料理を作ってくれていたのです!
『怪我したら困る』『体調だってよくないのに余計なことを』と、とにかく心配で母を叱ろうとすると......。
忘れぬ愛情
「A子おせち好きだったよねえ」
「さあ、たくさんお食べ」
そう笑顔で話す母に驚きつつおせち料理を見ると、私の好物のものばかり。
『お母さんは全部忘れているわけじゃない』
『ちゃんと覚えてくれていたのね』
そう思うと嬉しくて嬉しくて、どんどん涙が溢れた私。そのままみんなで母のおせち料理を堪能し、幸せなお正月を過ごしました。
大切な思い出
今、母は介護施設に入所し、私とは別々に暮らしています。
もう母の手作りご飯を食べることはできないからこそ、あのおせち料理は一生忘れられない大切な思い出です。
【体験者:50代・女性パート主婦、回答時期:2024年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にltnでヒアリングと執筆を行う。