ホテルマンあるある?
私がホテルのフロント業務に従事していたときのことです。ホテルの正面入り口からすごい勢いでフロントに向かってやって来る女性が見えました。
旅行に来たような感じではなく、手には小さなバッグ一つで慌てて家から出てきたような雰囲気です。
これはもしかして? と嫌な予感は大当たり。
「すみませんNの妻ですが」「主人がここに泊まってると思うんだけど何号室かしら?」と尋ねてきました。
対応した私はマニュアル通りに「N様ですね。大変申し訳ございませんがご宿泊のお客様に関してはこちらではお答えできかねます」と丁寧に答えました。
引き下がらない妻
Nの妻であろう女性は「携帯もつながらなくて困ってるからすぐに呼んで!」と強気です。
「少しお時間をあけて連絡してみては……」と伝えても、「駐車場に主人の車も停まっているからここにいるのはわかってるの」と一向に引き下がる様子はありません。
「ですが例えご家族でも宿泊のお客様に関する情報をお伝えすることは」と何を言っても、「何号室か教えてくれるだけでいいのよ」と帰ろうとしません。
しかも、Nの妻であろう女性の声は徐々にヒートアップし怒りがこもっていて、周囲からも注目を浴びています。
こういった状況はホテルのフロント業務をしていると時々あるのです。
間違ってもご主人の部屋番号など教えたものなら、ものすごい剣幕で乗り込んでいくことが目に見えています。
想像通りの修羅場
引き下がらない妻の対応に困っていたところへ、「チ~ン」とエレベーターが到着しました。
何も知らずにエレベーターから吞気に出てきたのはNと若い女。ニタニタしたNと女は、あろうことかベタベタと腕を絡めながら降りてきたのです。それはもう誰が見ても明らかな不倫相手。
ホテルスタッフ一同「あ~」と最悪のタイミングで現れたNに大きなため息です。
「ちょっとあなた!」「なぜおまえが……」と、そこからは想像通りの修羅場を迎えることになったのでした。
【体験者:30代・女性ホテルスタッフ、回答時期:2018年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kumi.M
保育士歴25年。ママたちの修羅場、バトルを多数目撃し、その経験を元にコラムニスト活動をスタート。アラフィフ主婦となった現在は、ママ友・育児・嫁姑問題などを、幅広い人脈を駆使してインタビューを行い、執筆する。