親族にとって愛着のあった大きな家は、住んでいる長男の妻にとっては建て替えたい家でしかなかった。祖父の施設入所のタイミングで、家は見る影もなく変わってしまって……。そんな話を友人が聞かせてくれました。

生涯現役の祖父、92歳で施設入所へ

私の祖父は自営で仕事をしていて、まさに「生涯現役!」といった自慢の祖父。

その祖父が92歳のときに転倒して骨折、入院をすることになり、そのまま施設に入所しました。祖父に会いにいこうとするも「孫」という立場は面会が難しく、窓越しに顔を見るくらいしかできませんでした。

祖父は、長男夫婦と孫たちと暮らしていました。古くはあるものの、とても大きく立派な家でした。同居する長男の妻は、古い今の家が嫌いで、ずっと建て替えを望んでいました。でも祖父は「自分の建てた家だから」と建て替えには応じず、そのまま過ごしていたのです。

祖父不在中の独断建て替え! 消えゆく思い出の家

しかし、祖父が施設に入所したことをきっかけに、長男の妻は独断でその家を壊し、建て替え、平屋を建ててしまったのです。

祖父が何十年も大事にしてきた家でしたが、あっけなく壊され、私たち親族はみな寂しがりました。私にとっては大好きなおじいちゃん、おばあちゃんの家がなくなり、母にとっては、自分の生家がなくなってしまったのですから。

祖父は施設に入所している間も家のことを心配し、最後まで自分の家に帰りたがっていました。でもそれは叶わず、そのまま施設で亡くなりました。祖父は、自分の家が平屋に建て替えられてしまったことを知りません。