オンラインゲームにハマる息子
私には、小学生の息子がいます。
学校で流行っているそうで、息子のA男も例にもれず、対戦型のオンラインゲームにハマっています。
時間制限などのルールは守っているようですが、彼の遊び方を見て、母としてどうしても許せないことがありました。
「クズが、消えろ!」
A男はそのゲームにかなりのめりこんでいて、試合に負けると、人が変わったように「ああ、なんだよ使えないクズが! 消えろ!」と、オンライン上の味方プレイヤーに暴言を吐くのです。
ゲーム実況の動画もよく視聴しているようで、激しい言葉で相手を罵る配信者の真似をしているのかもしれません。
実際に顔が見えないから想像がつかないのでしょうが、生身の人間に対して、平気でひどいことを言う息子に危機感を感じ、ある日話し合いの場を設けました。
「お母さんに言ってみなさい」
「A男は、負けると味方のせいにして、ひどい言葉を投げつけるよね。今からお母さんに、消えろって言い続けてごらん」
「え? お母さんには、そんなこと言えないよ」
息子は戸惑いました。
「いつも言ってるでしょう、あなたが毎日平気で使っている言葉、お母さんには言えないの?」
嫌がる息子の前に強い口調で言い、私は無理やり言うとおりにさせました。
「消えろ、消えろ、消えろ、消えろ、き……」
消えろ、というたびに息子の声は小さくなり、震え、ついには泣き出してしまいました。
「お母さんに消えろなんて言いたくない。ごめんなさい、ごめんなさい」
人の痛みに、鈍感になってほしくない
「A男はお母さんのことを大切だと思ってくれているんだよね」
私は、泣きじゃくる息子の頭を撫で、抱き寄せました。
「あなたがいつも消えろって言っている相手だって、誰かの大切な人なんだよ。ゲームをして楽しむのはいいと思うけど、人を傷つけないって約束してね」
息子は力強く頷き、それからというもの、一切暴言を吐かなくなりました。
代わりに、勝っても負けても試合後に「GG!」と言うようになったので、どういう意味かと聞いてみると、「Good Gameの略で、相手にリスペクトを送っている」と教えてくれました。
オンラインとリアルが入り混じる現代。
大人ですら、顔の見えない相手には何を言ってもいいと考える人たちが多くいます。
自分の息子には、人間は暴言を吐かれれば傷つくし、叩かれたら痛いんだということをしっかり教えていきたいと思います。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2024年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。