A子も、育児に行き詰まった際、ある人に想いを打ち明けたことで心が救われたと話します。
その経験を、A子から聞きました。
育児に疲れ果てた日々、誰にも頼れない母親の孤独
知人のA子は、1歳と2歳の年子の子どもを育てています。
知り合いも少なく、頼れる親族もいない新しい土地で、毎日2人の幼い子どもたちに囲まれ、家事や育児に追われる生活。
A子の心は疲れ果てていました。
つい子どもにきつく叱ってしまうこともあり、その度に夫は「怒りすぎだ、もっと余裕を持て」と批判してきます。
さらに「お前はダメだ。自分ならもっと上手くできる」という夫の一言に、A子は心が折れかかっていました。
夫の言葉が引き金に「母親失格」という不安
「どうすればもっと優しく、理想の母親になれるのだろう」
そう考えれば考えるほど、焦りと不安が募り、育児への自信を失うA子。
次第に「自分は母親失格なのではないか」と悩むようになり、精神的な限界を感じ始めたのです。
児童センターで初めて打ち明けた悩みと涙
ある日、A子は「このままでは自分を保てなくなってしまう」と感じ、勇気を出して近所の児童センターに駆け込みました。
職員が声を掛けてくれたことで、A子の気持ちは溢れ出し、抑えきれない涙がこぼれました。
事情を知った職員は、A子と同じように年子の育児に苦しんでいた母親の話をしてくれました。
その母親もまた疲れ果てていましたが、子どもが小学校に上がるころには手が離れたと笑顔で話していたと言います。
「優しく良い母親になりたいと悩む時点で、あなたはとても優しいお母さんですよ」という職員の言葉に、A子は涙が止まりませんでした。
救われた心、繰り返し足を運んだ児童センター
初めて他人に自分の心の内を打ち明けたA子は、親身になって聞いてもらえたことにとても救われました。
それからは、気持ちを晴らすためにも児童センターに通うのが日課に。
家に帰ると相変わらず忙しい日常が続きますが、あの日、勇気を出して児童センターに駆け込んだことで、A子は「取り返しのつかないことになる前に救われた」と心から実感し、感謝しています。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2024年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Yumeko.N
元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。