でも、仕事を優先したことで、望まぬ未来が待っていることも……。
今回は筆者の知人から聞いた、後悔エピソードをご紹介します。
キャリアアップを目指して
私は中学校教諭として長年働いていました。
大変なこともたくさんありましたが、とてもやりがいのある職業です。
でも、現場で働く教員と上の立場にいる人とはかなり考え方が異なる、という実態を働けば働くほど感じるようになった私。
『いずれ役職に就いてもっと教員が働きやすい改革をしないとダメだ』とキャリアアップを目指すようになっていました。
子育ては両親任せに
そんななか娘を妊娠・出産しました。
娘のことはかわいくて仕方なかったものの、それまで培ってきたキャリアを失って平の教員のまま終わりたくなかった私。
シングルマザーだったこともあり、子育ては近くに住む両親に任せてとにかく仕事に一生懸命励みました。
娘の寂しそうな顔を何度も見ていたものの深く捉えることなく、『せめてやりたいことはやらせてあげよう』と娘の望む習いごとは何でも通わせるように。
夢中になることがいくつもあったからか、娘は10歳になる頃には私に『寂しい』と言わなくなりました。
私も無事にキャリアを積んで昇進し、教員の働き方改革に勤しむことができたのですが......。
娘の訴え
時は流れ、私が定年退職後に娘が結婚。
幸運なことに妊娠も発覚しました。
そのため、これからは孫の育児に関わる気満々だったのですが......。
「私はお母さんに息子のことを頼る気はないから」
「お母さんみたいに育児を放ったりしないつもり」
そう娘にバッサリ宣言されてしまったのです!
「子どものころ寂しくても我慢ばかり強いられて辛かった」
「お母さんは本当に働き者だと思うけど、私は育児放棄のように感じていた」
感情が溢れたのか涙ながらに娘に訴えられ、ようやく『娘のことをもっと見てあげていたらよかった』と深く反省しました。
残るわだかまり
それからは娘によく連絡して気にかけるようにしてはいますが、娘の心の扉はなかなか開きません。
孫が3歳になった今も、娘とはぎこちない関係のままです。
『もっと娘のことを大事にしてあげられたらよかったのに』と今更ながら後悔しています。
【体験者:60代・女性主婦、回答時期:2024年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にltnでヒアリングと執筆を行う。