土地勘のない場所では、その土地に詳しいタクシーが心強いですよね。しかし、中には観光客を見くびって悪事を働こうとする運転手もいるようです。筆者の友人が体験したエピソードをお届けします。
初めての場所でタクシーに乗ることに
先日、私は会社で担当することになった新規取引先への挨拶のため、生まれて初めて訪れる地方都市へ出張することになりました。
駅から目的地まで少し距離があるようだったので、駅前でタクシーを拾って乗り込むと、中年の男性運転手が愛想よく「お姉さん、観光かい?」と話しかけてきました。
私が「いえ、仕事なんです。初めての土地なので道も全然分からなくて……」と返答して目的地を告げると、運転手は「ああ、あそこね。分かってるよ」と頷き、ナビもセットせずに発進しました。
「あれ? おかしくない?」
しかし、数分走ったところで私は奇妙なことに気がつきました。窓の外を流れる景色は、私が事前に調べてイメージしていたものとは全く違っていたのです。
ビルが立ち並ぶビジネス街に向かうはずが、タクシーは住宅街を縫うように進んでいます。
思わず「あの……目的地ってこっちですか?」と聞きましたが、運転手は「そうだよ。ここらへんは観光客の人には分かりにくいから!」と答え、どんどん進んでいくのです。