旅行帰りの夜、母と私は観光の余韻に浸りながら最寄り駅に到着。
時刻はすでに23時を過ぎ、終電は終わっていました。
一駅先の自宅までなら歩ける距離ですが、膝が悪い私たちには厳しい道のり。
旅の疲れも考慮し、安全のためタクシーを利用することにしたのですが……?
タクシーに乗車
駅前のタクシー乗り場には、長時間待機している車が何台も並んでいます。
膝の痛みを気にしながら慎重に乗り込んだ私たち。
「近距離ですみません」
と配慮のつもりで何度か謝罪したのですが、運転手は無言のまま車を走らせました。
思わぬ逆切れ
信号待ちの瞬間、運転手がこちらを振り向き、怒りを含んだ声で言い放ちました。
「何度も言われると余計に腹が立つ! こっちは我慢しているのに!」
と険しい表情で声を荒げたのです。
その鋭い言葉に、私は思わず息を呑みました。
確かに、長時間待った後の近距離乗車は不満が募るかもしれませんが、冷たい怒声に心臓が縮み上がる思いでした。
走り去るタクシー
「すみません……」
と小さな声で謝るしかなく、車内は気まずい沈黙に包まれます。
ほんの数分の道のりが、まるで永遠に続くかのように感じられました。
目的地に到着し、料金は1,000円未満。
「お釣りは結構です」
と言って逃げるように車を降りると、バンと大きな音を立ててドアが閉まり、タクシーは勢いよく走り去っていきました。
その夜以来、私はタクシー利用に恐怖を覚え、「近距離OK」と書かれたステッカーすら信用できないと思うようになりました。
それ以後の対策
そんなある日、別の親切な運転手さんに出会いました。
流しのタクシーを利用する方法を教えてくれたのです。
「駅などで待機しているタクシーは長時間の待ちを覚悟しているから、気が立つこともある。だけど、空車で走っているタクシーなら、どんな距離でも乗ってもらえた方がありがたいんだよ」
空車で流しているタクシーは、お客様を探すためにガソリン代をかけて走っています。
近距離でも乗車してもらえるだけでガソリン代の無駄が減るので助かるとのこと。
まさに目からウロコの情報でした。
嫌な思いをしたトラブルも、新たな知恵として次に活かせる。
そう考えると、少し前向きな気持ちになれた気がします。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2024年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。