接客業をしていると、時折首を傾げたくなるようなお客さんに遭遇することがあります。
これは喫茶店で働いている友人から聞いた、ちょっと困った常連客の話です。

マナーの壁を壊したのは、意外な人物の一言でした

ある真夏日のこと。いつものようにその常連の皆さんが来店されましたが、その日は初めて同行されたBさんを含めた5名で、「今日も暑いわ~」と楽しそうにおしゃべりしながら席に着きました。
そして案の定、Aさんはホットコーヒーと氷入りのグラスを注文し、コーヒーを注ぎ始めました。
すると、初めて来たBさんが驚いた顔でこう言ったのです。

「ちょっと! Aさん! それ、お友達として見ていて少し恥ずかしいわよ〜!」
店内に響くような明るくもハッキリとした声でした。
それに続くように、他のメンバーたちも「実は私たちも気になってたのよ! せっかく美味しいコーヒーを飲みに来ているんだから、30円の差ならお店の美味しいアイスコーヒーをそのままいただきましょうよ」と、次々に声を上げました。

皆さん冗談を交えながら明るく指摘していたので、Aさんも苦笑いしていましたが、そのお顔は少し照れくさそうに赤くなっていました。

それからも変わらず皆さんで店に来てくださっていますが、今では暑い日には全員が笑顔でアイスコーヒーを頼んでくれるようになりました。
マスターも「角を立てずに気づかせてくれてありがたいね」と、Bさんの率直な優しさにとても感謝していました。
お客様同士の絆が、お店の穏やかな空気も守ってくれた、そんな出来事でした。

【体験者:30代・女性店員、回答時期:2024年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:かたひらむぎ
大手マスメディアに勤務し、結婚を機に退職。現在は2児を育てる専業主婦ライター。家族や友人など、波乱万丈な人生を送る人たちに囲まれ、取材対象に。インタビューを行う中で「事実は小説よりも奇なり」を実感。体験者のリアルな思いを読者に届けるべくltnで活動中。