思いがけない一言
ある日、「いつも文句ばっかり言われるから」とMさんはかなり手の込んだ煮込み料理や彩りあふれるサラダなど、豪華なメニューを揃えました。
「へえ、今日はいいじゃん」
テーブルを見てご機嫌の旦那さんに、Mさんは心の中で「どうだ!」と思いました。
しかし料理を一口食べるなり旦那さんは渋い顔。
「んー、イマイチ。やっぱ素人の味だよね」
「はあ!? 家で食べるご飯なんだから、素人の味なのは当たり前でしょ!」
さすがに腹に据えかねたMさんは、以前から考えていた「ある作戦」を決行することにしました。
「え、今日のメシはこれ!?」
翌日仕事から帰宅した旦那さんは食卓の上を見て絶句。そこにはレトルトカレー・カップラーメン・冷凍チャーハンなど、温めればすぐに食べられる食品がずらりと並んでいたのです。
「さあ、あなたが望んでいた『開発のプロ』が作った完璧な味よ。どれでも好きなものを召し上がれ!」
Mさんはどれが食べたいかを旦那さんに選ばせ、温めて出してあげました。
それは翌日、翌々日にも続き、最初は黙って食べていた旦那さんも3日目でギブアップ。
「俺が悪かった。毎日一生懸命作ってくれていたのに、ひどいことを言った。君の手作りの料理が食べたい」
そう言って深く頭を下げたそうです。
旦那さんは、毎日誰かに食事を用意してもらえることを、いつの間にか当たり前のことだと思い込み、甘えていたのかもしれません。辛い思いをしている人を後ろから突き落とすようなことはせず、お互いの努力にそっと寄り添い、感謝を言葉にできる関係でありたいものですね。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2024年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。