苦手なBさんとチームに
私は商社で働く30歳、A子です。
今回は、新しいプロジェクトの始動に伴って、チームが発足したときのお話をします。
はじめに、チームメンバーを確認した私は憂鬱になってしまいました。苦手にしていた先輩たちばかりだったからです。お堅いと言ったらいいのでしょうか、普段まず笑顔を見せない面々で、怖いイメージがあったのです。
とくにチーム長のBさんはいつもしかめ面をしており、メールのやりとりも淡々としているため、話しかけづらさを感じていました。
この先が不安だなとため息をついていたところ、チーム長から決起会をすると言われ、当日、緊張しながらお店に向かいました。
上司にビールをこぼしてしまい、、、!
チームで一番後輩の私は、お店の人を手伝い、メンバーにお酒を配っていました。
そこで悲劇が。
乾杯を待つメンバーの気配を感じ、「早くまわしきらなければ」と、変に焦ってしまった私は、重いジョッキを何個も持っていたことも手伝って、つまずいてしまいました。
あろうことか、転んだ先にいたのはBさんで、彼の膝に思い切りビールをこぼしてしまったのです。
「す、すみません!」
私は、顔面蒼白になって謝りました。
人は失敗する生き物
「ハハハッ! 気にするな!」
「!?」
てっきり厳しく怒られると思ったのに、突如笑い出したBさんに私はびっくり。
普段、笑った顔なんて見たことがないのに―。
「俺も、昔上司に同じことをやらかしたんだよ。いやぁ、焦るよな~! この前コイツも、オフィスでコーヒーこぼしちゃってな。」
冗談ぽくBさんにつっこまれた先輩社員も、頭を掻きながら笑いました。
その流れで、みんな自分の失敗談を話す流れになり、なんだか場が和気あいあいと盛り上がりました。
「このように、人はみんな失敗する生き物だ。一人で完璧に仕事をこなせるやつなんていない。そのためのチームだからな! みんな、お互いを支えあって一緒に頑張ろう! 乾杯!」
そうBさんがジョッキを掲げると、みんなが笑顔で「乾杯!」と唱和しました。
チームワークの大切さ
勝手に苦手意識を持っていたBさんは、実はとても優しく、人情に厚い人でした。
私の失敗を助け、場の雰囲気を良くしてくれた彼には感謝でいっぱいですし、人の性格を思い込みで決めつけていた自分が恥ずかしくなりました。
今ではすっかりBさんに懐いてしまっていて、我ながら現金だなと思います。
これからも、尊敬するチーム長や先輩たちと、チームワークを大切にしながら、仕事に奮闘していきます。
【体験者:30代・女性正社員、回答時期:2024年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。