お兄ちゃんは長男
Rさんには2つ年上のお兄さんがいます。
子供の頃からRさんは、両親のお兄さんと自分への扱いが違うことを感じ取っていました。
何故かというと、食事のときはいつもお兄さんが好きなメニューで、お兄さんの分だけおかずが多めによそわれていたからです。
そしてお母さんはいつもお兄さんだけに「美味しい? 」と聞くのでした。
お父さんは仕事が忙しく、一緒に食事をとった記憶はほぼありません。そのためRさんはお母さんとお兄さんとの3人の食卓で、いつも自分だけのけ者になったような気持ちでいたのです。
子供の頃は不平等だと思っていたけれど、年月が経ち、大きくなってからは「兄さんは育ちざかりだったからだな」と理解できるようになっていました。
久しぶりに帰省すると
その後Rさんは就職して家を出ることになり、実家には年に1回帰る程度。お兄さんはそのまま実家に暮らしていました。
「ただいまー」
ある日、Rさんは親戚の法事で久しぶりに実家に帰りました。
「おかえり、久しぶりね」
お母さんは娘の帰省が嬉しいのか、ご機嫌な様子。
そしてお兄さんも仕事から帰宅しましたが、お父さんは相変わらず仕事で帰りが遅いため、久しぶりに3人で食事をとることになりました。
テーブルの上に並んだ母の手料理に、Rさんは懐かしい気持ちになったといいます。ところがお母さんはいきなり冷凍庫をゴソゴソと探り、カチカチに凍った冷凍のご飯をRさんに差し出しました。
「はい、あんたコレでいいでしょ。自分でチンしてあっためて」
ご飯を炊くのを忘れたのかな、と思ったRさんでしたが、お母さんがお兄さんには炊飯器から炊きたてほかほかのご飯をよそい、「おかわりあるよ」と渡しているのを見てしまいました。
子供の頃、自分とお兄さんが差をつけて育てられていたような気がしたのは間違いではなかったと感じたRさんは、今回の件がきっかけでお母さんとは距離を置くことを決めたそうです。
いくら長男信仰とはいえ、あからさまに差をつけて育てると子供の心を傷つけてしまいます。何か理由があったのかもしれませんが、どちらも自分の子供ですから、平等に育てて欲しいものですね。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。