電車の中や街角で、ふと目に留まる見知らぬ人の行動に、少し心が温かくなったことはありませんか? 今回は知人のA子が出会った小さな優しさのお話です。
思わぬ危険と出会った電車の中で
A子が娘と買い物に行くため、一緒に電車に乗っていたときの話。
ある停車駅で、少し慌てた様子の母親らしき女性が、1歳くらいの赤ちゃんを背負って乗車してくる姿を目撃しました。
最近は赤ちゃんを「前向き抱っこ」で抱える母親が多いように感じていたので、「珍しいな」と何気なくその親子を見ていたA子。
しかし、しばらく見ていると、赤ちゃんの左足がどうもおかしいことに気づきました。
赤ちゃんの左足が、おんぶ紐からうまく出ておらず、足の先が紐に引っかかってしまっているのです。
赤ちゃんは何か居心地が悪そうに少し動いていましたが、まだ上手に言葉が話せない年齢のため、それを母親に伝えることはできません。
母親もその様子に気づくことができず、電車の揺れに合わせて手すりに捕まり立っていました。
見えない危険に気づいた、見知らぬ青年
声を掛けるべきかどうか一瞬迷うA子。
ところが、「見知らぬ人に声をかけられたら驚くかも──」とためらっているうちに、思いがけない人物が行動に出たのです。