どうして良いか分からず右往左往する乗客たちの中で、困惑した車内の空気を一瞬で変えたある意外な人物とは……?
今回は筆者の友人A子がバスに乗っていた際に起きたエピソードをご紹介します。
号泣は突然に【バス車内】
夕方、バスに乗車し帰宅していた時の話です。
車内は立っている乗客が数人程度の混み具合でした。
スマホをいじっていると、車内のどこかから声が。
よく聞くと「ヒックヒック」という泣き声でした。
思わず周りを見渡すと、スーツを着た女性が立ったままスマホを見つめて号泣していたのです。
困惑する乗客たち
「ど、どうしたんだろう」
私を含め周囲の乗客が固唾を飲んでその女性を見守っている中、その女性はさらにスマホをぎゅっと握りしめて「うわぁぁぁん!」と激しく泣きじゃくり始めました。
どんどん大きくなっていく泣き声に、他の乗客はどうしていいかわからずオロオロ。
小さな子供が「お姉さんなんで泣いてるの?」と無邪気に母親に聞いて「こ、こら、静かに!」と慌てて母親が注意する光景も。
気まずい車内に思わぬ救世主!
そんな気まずい車内に、救世主が!
そばの席に座っていた高齢女性が
「あらどうしたの。悲しいことがあったのね」
とゆっくり穏やかに号泣女性に話しかけたのです。
泣いてうまく返事ができずにいる女性に
「そうよね、泣きたいのよね。いいのよ」
と理解を示し、ごそごそと手を動かすと
「あげる」
と言って、飴をそっと手渡したのです。
号泣女性は優しい声がけのおかげか、次第に落ち着き始め
「すみません。ありがとうございました」
と高齢女性に答えました。
「いいのよ。泣くのも大事。自分の気持ちを大事にね」
と答える高齢女性。
そのやりとりを見守る車内も、何やら感動的な空気に。
公共の場所で泣いている人を見るのは珍しいことで、居合わせた人もどうして良いか分からず困惑してしまうものですが、この高齢女性のように優しく自然に接してあげられると良いなと思った出来事でした。
【体験者:30代・会社員、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Sana.Y
医療機関に勤めるアラフォーワーキングマザー。新卒で化粧品メーカーに入社後、結婚出産を機に退職。現在は転職し子育てと仕事の両立に励む。自分らしい生き方を求め、昔から好きだった書くことを仕事にしたくライターデビュー。化粧品メーカー勤務での経験や、会社でのワーキングマザーとしての立ち位置、ママ友との情報交換を通して美容や教育、女性の生き方を考えた情報を発信している。