友人Hの話です。会社にやってきた保険勧誘員は、中学時代に自分をいじめていたYだった。上から目線で保険に入るよう指図するYに、きっぱりとNOを突きつけたH。過去の悪行も暴露されたYは……?

いじめに負けず、夢を叶えたH

中学時代、Hは同級生のYにいじめられていました。クラスで孤立してしまったHは、1人の時間を勉強に費やし、同級生たちと遠く離れた進学校に進みます。
その後もHはひたすら勉学に励み、有名大学に入学。やがて大手企業に就職したHは、若手ながらチームリーダーに抜擢される存在にまでなりました。

予期せぬ再会

ある日、Hの会社に新人を連れた保険勧誘員がやってました。
甲高い声で「初めましてー!」と名刺を配り歩く新人勧誘員。その顔をよく見ると、なんとHをいじめていたあのYでした。Yもすぐに気づいたようで、ニヤニヤと嫌な笑顔でこちらに手を振ります。

まるで昔のいじめなどなかったかのように「久しぶりー! こんな大きな会社に入社できたんだ? びっくりなんだけど(笑)」と、馴れ馴れしく話しかけてくるY。

「友達」と名乗らないで

そして、Yは自分の上司の顔を見上げ「Hは私の友達なんですよぉ」とニッコリ。
無言で立ち尽くすHに「どうせまだ独身でしょ? 結婚できるかわかんないし、保険くらい入っておかなきゃね!」と、無邪気に保険の契約を持ちかけてきたのです。
しかしHはその言葉には一切反応せず、無表情のままYの上司をじっと見つめました。

上司の前でいじめの過去を告白

Hは大きく息を吸うと、淡々と話し始めました。
「この人は友達じゃありません。中学時代、私は彼女から酷いいじめを受けていました」と打ち明けたのです。Hの放った言葉に、一瞬でその場の空気が凍りつきました。Yの顔が見る見るうちに真っ青になり、「え、違うって、あの……」と、焦りの色を隠せないY。

そんなYにチラリと目をやり、Hは続けて「私は、いじめをするような人がいる保険会社には入りません!」ときっぱりと宣言しました。すると、その場にいた同僚の1人が、Hの言葉を聞いて「うちの親、この保険入ってるけど解約させようかな」と呟いたのです。

Yの本性が暴かれ、会社を辞めることに

「まずいことになった。」そう判断したYの上司は、深々と頭を下げ「大変申し訳ありませんでした」と謝罪しました。そして「勘違いです!」と必死に言い訳するYを連れ出し、足早にその場を去りました。

その後、Yは過去のいじめを白状。普段から同僚にも陰で悪口を繰り返していたことも知られてしまい、上司から厳しい叱責を受け、社内にはいじめの噂が広まりました。そしてついには退社することになったそうです。中学時代のいじめが巡り巡って大人になった今、Yに報いとして返ってきた。そんな因果応報を感じた出来事でした。

【体験者:30代・会社員、回答時期:2024年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:N.tamayura
長年勤めたブラック企業を退職し、書くことを仕事にするためライターに転職。在職中に人間関係の脆さを感じた経験から、同世代に向けて生き方のヒントになるような情報を発信すべく、日々リサーチを続けている。