自分ではどうにもならないことを強要されたら、悲しいよりも怒りの方が込み上げてくるのではないでしょうか。今回は私の友人A子から聞いた、母乳育児を勧めてくる夫と姑に失望したものの、ある人たちが救ってくれた話を紹介します。

あれ、母乳が出ない!?

妊娠中のA子は、子どもを産んだら当たり前に母乳が出てくるものだと思っていました。しかし、出産後何日経っても微々たる量しか母乳は出ず、片方に至ってはにじむ程度。助産師さんの指導やマッサージを受けたり、自分でもマッサージをしたりしてみたものの、変わらず……。頻繁に授乳するようにもしてみましたが、変化がなかったのでミルクで育てようと決心しました。

夫や姑からのキツイ一言

夫には母乳が思うように出ないことを最初から話していました。しかし、よくわかっていなかったのか、「ミルクも高いんだから母乳で育てりゃいいじゃん!」と言われてしまう始末。さらには姑から、「母乳の方が子どもが強くなるのよ」と言われてしまい……。

姑は手作りのお惣菜を届けてくれる……

姑に至っては、わざわざ「母乳が出るように」と手作りのお惣菜やフルーツを何度も持ってきてくれました。ありがたいことなのですが、持ってきてくれる理由を知っているA子は複雑な気持ちに。出産前に義実家から車で5分のところに引っ越していたことが仇となりました。

やっぱり姑のやさしさがつらい……

ミルクで育てると決めたものの、夫や姑からの圧力のようなものを常々感じていました。しかし、ひそかに続けていたマッサージをしてみたり、食生活に気をつけたりしても、やはり母乳は思うように出ず……。

A子にとっては、姑の好意がかえってストレスになってしまいました。ありがたいと思えるほどの心の余裕がなく、もうほっといてほしいと思うように。本人たちに面と向かっては言えないものの、心の中では夫や姑に「母乳は出ないんだってば!!」と叫んでいたA子。

助けてくれたのは……

県外に住む実母や既婚で子持ちの妹には、これまでのことをすべて相談していました。「ミルクの何がいけないの?」「気に病まなくていいんだよ!」とミルクで育てることを後押ししてくれたのも妹です。

ある日、妹や実母が、A子宅に来る際にA子が指定した銘柄のミルクをたくさん買って持ってきてくれました。そして、実母から夫へ「これ以上母乳母乳言ったら、A子を連れて帰りますよ~」と冗談半分だったものの、厳しく言ってくれたおかげで、それ以降は夫から強要されることはありませんでした。夫や姑に悪気がなかったのも、心配してくれていたのもわかります。姑からの圧力が減ったのも、きっと夫が裏で止めてくれているのでしょう。実母や妹のおかげで救われたA子でした。

【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2024年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:ichika.K
2児の育児を機に、ママの悲喜こもごもを描くライターとしての活動をスタート。子育てメディアなどの執筆を経て、独立し現在はltnでコラムを連載中。大手企業の総合職でのOL経験、そこから夫の単身赴任によりワンオペでの育児を行った経験から、育児と仕事を両立するママの参考になる情報を発信すべく、日々情報をリサーチ中。