何かあった時のための合鍵
Aさんは60代の主婦。結婚した息子夫婦がAさん宅の近所に家を建てることになりました。30代の息子夫婦は共働きで2人の子どもを育てるという忙しい生活をしており、Aさんはせっかく近くに住んでいるのだから手助けしてあげようと張り切っています。
「近くに住んでるんだから頼ってね!」
息子夫婦にも伝えたAさん。家が完成すると“何かあった時のために”とAさんは息子夫婦宅の合鍵を託されました。
私が助けてあげなくっちゃ!
働いておらず時間に余裕のあったAさんは、共働きの息子夫婦を助けたくて仕方がありません。そこで合鍵を使って昼間に息子夫婦の家に入り、家の掃除や料理の作り置きをしていました。
手伝いをした日はお嫁さんから「ありがとうございます」と連絡があるので、Aさんは自分が息子夫婦の役に立っていると思っていました。
そしてますます張り切ったAさんは、毎日のように息子夫婦の家に通い家事をしたのです。Aさんはこの行為が息子夫婦からも喜ばれていると信じていました。
「もう入らないで」合鍵を取り上げられるAさん
ある日、息子が急にAさんを訪ねてきました。そして意外な一言をAさんに告げました。
「勝手に家に入るのやめてくれるかな? 合鍵返して」
Aさんは息子の言葉に激怒。「これまであんなに助けてあげたのに!」と憤慨しました。そして鍵を返し「もう助けてあげないんだから!」と怒りを鎮めることができません。
息子夫婦を助けてあげたいという善意からの行為だったので、それを迷惑だと拒否されたことがショックだったのです。
反省……非常識だったのは私
納得のいかないAさんは、その後友達に電話をして今回の件を話しました。すると同年代の友達からも「それは非常識だわ」と叱られてしまったのです。
「逆の立場で考えてごらんなさい?」と諭され、やっと自分の行動を省みることができたAさん。確かに頼んでもいないのに姑に勝手に家に上がられ、いろいろとやられるのは嫌だっただろうと反省することができました。
自分の感覚がおかしかったことを自覚したAさんは、息子夫婦に改めて謝り勝手に家に入らないことを誓いました。良かれと思ってしたことでも、相手の迷惑になっていたら意味がないとAさんは学んだそうです。
【体験者:60代・女性主婦、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:安藤こげ茶
自身も離婚を経験しており、夫婦トラブルなどのネタは豊富。3児のママとして、子育てに奮闘しながらもネタ探しのためにインタビューをする日々。元銀行員の経験を活かして、金融記事を執筆することも。