言った本人が忘れてしまうような言葉でも、言われた人の心に忘れられないキズを残すことがあります。
筆者の知人のY美さんも幼い頃に言われた言葉で心にキズを負った一人です。
Y美さんが体験談を話してくれました。

下校後の楽しみ

私が小学生の頃の思い出です。

当時の私は学校から帰ってから、その日のできごとを母に話すのが日課でした。

家で私の帰りを待っていてくれる母は、いつもニコニコとしながら、私の学校の様子を聞いてくれました。

私にとって母とおしゃべりするこの時間は、何よりの楽しみでした。

なのに私を戸惑わせるこんなできごとがありました。

母からの心無い言葉

その日も学校から帰ると私はいつものように「ママ、聞いて」と母に話しかけました。

すると母が
「あんたの話は何を言いたいのかさっぱりわからないから、話しかけてこないで」
と心無い言葉とともに私を拒んだのです。

とてもショックだった私は何も言えずに、そのまま部屋に戻りました。

それ以来
「私の話はわかりにくくて、ほかの人には伝わらないのでは」
と頭の片隅に浮かぶようになってしまいました。

それは大人になった今でも心に残り、人と話す時は緊張したり不安感を感じてしまうのです。

ふとした言葉がトラウマに

今になって思えば、あの日たまたま母は体調が悪く、機嫌が悪かっただけなのでしょう。

母は俗に言う「毒親」ではなく、むしろ優しくて穏やかな子ども思いの母親です。

大人になってから「子どもの頃にお母さんからあんなこと言われてショックだったよ」と母にあの日のできごとについて話したことがありました。

母はそのことをまったく覚えていませんでした。

ですが母がその時の感情で思わず口にしたひと言が、私のトラウマになってしまったのです。

子どもに対しての言葉は気をつけよう

今も母と私との関係は良好です。

私が結婚してもときどき一緒にごはんを食べたり、母が我が家に来て泊まっていくこともあります。

母親だからといって完璧な人間はいません。

だから
「親の言葉が子どもの心にキズを残すことがあるから、子どもに対しての言葉は気をつけよう」
と心がけながら、自分の子どもと向き合うように気をつけています。

【体験者:40代・パート、回答時期:2024年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

Itnライター:K.Sakura
セラピスト・販売員・介護士の職を通じて常に人と関わる職務経験から得た情報を記事化するブロガーを志す。15年ほど専業主婦兼ブロガーとして活動するも、モラハラな夫からから逃げるために50代にして独立。母としては、発達障害のある子どもの育児に奮闘。自分の経験が同じような状況に悩む人の励みになって欲しいと思い、専門ライターに転身。アラフィフでも人生やり直しができることを実感。