言った本人が忘れてしまうような言葉でも、言われた人の心に忘れられないキズを残すことがあります。
筆者の知人のY美さんも幼い頃に言われた言葉で心にキズを負った一人です。
Y美さんが体験談を話してくれました。
筆者の知人のY美さんも幼い頃に言われた言葉で心にキズを負った一人です。
Y美さんが体験談を話してくれました。
下校後の楽しみ
私が小学生の頃の思い出です。
当時の私は学校から帰ってから、その日のできごとを母に話すのが日課でした。
家で私の帰りを待っていてくれる母は、いつもニコニコとしながら、私の学校の様子を聞いてくれました。
私にとって母とおしゃべりするこの時間は、何よりの楽しみでした。
なのに私を戸惑わせるこんなできごとがありました。
母からの心無い言葉
その日も学校から帰ると私はいつものように「ママ、聞いて」と母に話しかけました。
すると母が
「あんたの話は何を言いたいのかさっぱりわからないから、話しかけてこないで」
と心無い言葉とともに私を拒んだのです。
とてもショックだった私は何も言えずに、そのまま部屋に戻りました。
それ以来
「私の話はわかりにくくて、ほかの人には伝わらないのでは」
と頭の片隅に浮かぶようになってしまいました。
それは大人になった今でも心に残り、人と話す時は緊張したり不安感を感じてしまうのです。
ふとした言葉がトラウマに
今になって思えば、あの日たまたま母は体調が悪く、機嫌が悪かっただけなのでしょう。
母は俗に言う「毒親」ではなく、むしろ優しくて穏やかな子ども思いの母親です。
大人になってから「子どもの頃にお母さんからあんなこと言われてショックだったよ」と母にあの日のできごとについて話したことがありました。
母はそのことをまったく覚えていませんでした。
ですが母がその時の感情で思わず口にしたひと言が、私のトラウマになってしまったのです。