円満離婚を選択した私たち
私は3年前に結婚しました。しかし、共働きでお互い多忙な日々を送る中で、夫との間には少しずつ溝ができていきました。
すれ違いの生活、徐々に増える喧嘩、一緒にいても安らげない……。
そして、ついに私たちは「お互いの幸せのために離れよう」と、離婚という選択をして、結婚生活に幕を下ろしました。
新生活がスタート
経済的にもそれぞれ独立していましたし、子どももいなかったので、手続きは比較的スムーズに進みました。
2人で住んでいたマンションの部屋は一人暮らしには不向きだったので、引き払ってお互いに新しい住まいを探すことに決めました。
私は近所に良いアパートを見つけ、そこに引っ越して新生活をスタートすることに。
「ここから新しく始めよう!」と意気込んでいたのですが……
なんでここにいるの?!
引越しの翌日、両隣や上下の階の住人に引越しの挨拶をしに出かけると、なんと、真上の部屋から出てきたのは……元夫!
信じられないような話ですが、彼は私と同じ物件に入居を決め、一足早く引越しを完了していたのです。まさかこんな偶然があるとは。お互いに驚きを隠せませんでした。
少し出鼻をくじかれたような気もしましたが、今さら入居をやめるのも面倒ですし、私たちは同じアパートでそれぞれの新しい生活をスタートさせることになりました。
意外な心地よさで……
それからというもの、不思議なことに私たちの関係は離婚前より良好になっていきました。
嫌い合って別れたわけではないので、物理的な距離ができたことで適度な距離感が保たれるようになったのかもしれません。
おかずを作りすぎてしまったら、「持って行ってあげようかな」と思い立ち、一緒に夕食を食べることも。
どちらかが風邪を引いて寝込んだ時には、様子を伺い、必要なものを差し入れ合うこともあります。まるで気心の知れた親友のような関係です。
離婚という選択をしたことは今でも間違いではなかったと思っています。
結婚生活では、お互いの存在が近すぎて息苦しさを感じていたのかもしれません。こうして適度な距離を保ちながら、気を遣わずに支え合う関係でいられる今のほうが、私たちには合っているのかも、と思います。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2024年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。