昭和思考の夫
Aさんは小学二年生の息子を育てるママです。Aさんの息子は少し泣き虫なところがあり、勝負に負けて悔しい時や、転んでしまった時などにすぐ泣いてしまうと言います。
Aさんはそんな息子のことを子供らしくて可愛らしいと思っていたのですが、夫は逆でした。
「男なら泣くんじゃない。小学生で泣くなんてすごく恥ずかしいことだぞ」
ザ・昭和男子の夫は「男はこうあるべき」という考えが強い傾向にあります。息子は夫に叱られるたび「だってだって……」と涙ながらに言いますが、そのたびに夫はイライラ。
一方Aさんは「そんなこと言わないで」といつも息子をかばいますが、家庭の雰囲気は最悪になってしまいます。
夫の弱みを握った瞬間
ある日、夜中に目を覚ましたAさん。喉が渇いたので寝室からキッチンに行こうと、リビングのドアに手をかけました。
するとリビングから「ズビズビ……」と鼻をすする音が。Aさんがそっとドアを開けると、そこには映画を観ながら号泣する夫がいました。
「思いっきり泣いてるじゃん(笑)」
Aさんが茶化すと、全くAさんの存在に気付いていなかった夫は「わぁ!」と声をあげて驚きました。
「こんな姿見られたら、もう息子のことは何も言えないね」
Aさんの言葉に顔を真っ赤にして「頼むから息子には言わないでくれ」と頼み込んだ夫。それ以降、夫が息子に「泣くな」と叱ることはなくなり、Aさんはホッとしました。
男なら泣いちゃダメ?
Aさんは「自分に素直なのが一番大事。だから泣くのは恥ずかしいことなんかじゃないんだよ」と以前から息子に教えていたそうです。
感情を無理に閉じ込めさせようとするのは、本当に子供にとって良いことなのでしょうか? 強い子に育ってほしいという気持ちはわかりますが、辛かったり悔しかったりする時に、自然に涙が出るのは性別は関係ありませんよね。自分の弱さを知ることも、強さへの第一歩だと言えるでしょう。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:花澤ひかる
主婦ライター。ママ友たちからの悩みを聞くうちに、この声を世に届けたいと、ブログなどで活動を開始し、現在はltnライターに転身。主婦目線を大事に、ママ世代へのフィールドワークと取材を行い、そのリアルな思いをコラムにすることをライフワークにする。