待望の第一子出産
Wさんは当時、待望の第一子を出産したばかり。
出産予定日より一週間早い出産だったため、心の準備も入院準備も整わないままバタバタと出産することになりました。
「良かった」
かわいい女の子を出産し、Wさんは体力を使い果たしてボロボロの身体でベッドに横たわっていました。
「W、大丈夫か?」
立ち会い出産をしていた夫がWさんの病室に顔を出しました。
「うん、なんとか……あのね、お願いが」
Wさんは夫になにか飲み物を買ってきてもらおうと口を開きました。
夫の発言にビックリ
しかしWさんの言葉は、夫の意外な発言によって遮られてしまったのです。
「赤ちゃん見たよ! かわいかったー、俺に似たのかな? とりあえずお疲れ! じゃあ俺たち旅行に行ってくるよ」
「お、俺たち……?」
「うん、うちの親父とお袋。こんな時くらい親孝行しようと思ってさ! 久しぶりに長い休みがとれたし」
夫は温泉旅館のパンフレットをWさんに見せました。
それは夫の故郷でもなんでもない場所にある有名な温泉で、前から義両親が行きたがっていたというのです。
「ほんとは一週間後だったんだけどさ、予約の変更ができて良かったよ! じゃあな!」
「え!?」
Wさんが止める間もなく、夫はバタバタと出て行ってしまいました。
義両親と一緒に旅行に出かけてしまった夫は、妻の出産という名目でとった有休をほぼ旅行で使い切ってから帰って来たそうです。
産後の大事な時期に寄り添うことなく、ただ温泉を楽しんで来た夫に、Wはすぐに離婚届を突きつけました。
そして孫娘の顔を義両親に見せることは一生ないと告げ、家を出たとのことです。
親孝行をしたいという気持ちは大切ですが、産後の一番大事な時期に、命がけで子供を産んだ妻と赤ちゃんをほったらかして旅行に行くなんて、信じられない旦那さんでしたね。今後のWさん親子の幸せを祈るばかりです。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。