A子は新婚早々、姑から心ない言葉を浴びせられ、思わず絶句してしまいました。
その後、2人の関係はどのように変わっていったのでしょうか?
今回は、A子から聞いたエピソードをお届けします。

「女優気取り?」姑の一言に戸惑う私

結婚後、A子が夫の実家に挨拶に行ったときのことです。

きちんと時間をとって話をするのはこれが初めてでした。

新しい家族との対面で、緊張するA子でしたが、一つひとつ丁寧に質問に答えていました。

しかし、その場の空気に慣れないうちから、姑の質問攻めにあい、A子は少しずつ疲れを感じ始めました。

「料理は好き?」と姑に聞かれたA子は、「基本的な料理しか作れませんが、作るのは好きです。」と答えました。

そして続けて、「ただ、手が荒れるのが嫌なので、手袋がないと無理なんです。料理中も手袋をつけています」と話すと、姑の表情が険しく変わったのです。

「手荒れ? 女優気取り? テレビで見た女優のマネでもしてるの?」と嘲笑するかのような一言。

A子はその一言に言葉を失いました。本当のことを伝えたのに、理解されないどころか、まるで怠け者のように扱われたからです。

価値観の違いが生んだ誤解

A子は、幼いころからアトピー体質で、皮膚科に何度も通うほど症状が重いこともありました。

食器用洗剤は当然のことながら、特定の食品に対しても、湿疹やかゆみがでてしまい、ひどいときには手に包帯を巻いて生活していました。

A子にとって、料理や洗い物のときに手袋は欠かせない必需品なのです。

一方、姑はもともと皮膚が強いようで、家事の際に手袋など必要としない人でした。

「手袋を付けたり外したりすることが煩わしいし、多少手が荒れるのは当たり前」と考えるタイプで、A子の辛さを想像することができなかったのです。

こうした価値観の違いが、2人の間に誤解を生んでしまったのでした。

夫の一言が、私を救った

A子が落ち込んでいると、夫がゆっくりと姑に向き直り、真剣な表情でいいました。

「母さん、A子の手荒れは本当に深刻なんだ。俺たちは大丈夫でも、A子の手袋は生活に欠かせないんだよ。皮膚科に通いつめないと治らないくらいなんだ」

その言葉を聞いた姑は、ハッとした表情を浮かべ、「ごめんなさいね」と素直に謝ってくれました。

姑に悪気がなかったことを理解しながらも、A子は夫に心から救われた思いでした。

違いを理解することで、家族はつながる

結婚してすぐに、A子は姑と少しギクシャクした関係になってしまいましたが、今では「あの出来事があって本当に良かった」と感じています。

あの日、姑からの質問攻めにあいヘトヘトになりましたが、それが結果的に自分のことを知ってもらう良い機会になりました。

たくさん質問されたことで、姑もA子のことを理解するきっかけとなったのです。

最近では、姑がA子の体質を気にかけてくれるようになり、肌に優しいハンドクリームをときどき贈ってくれるようになったそう。

A子は「素敵な夫と結婚できて、その家族の一員になれたことが本当に幸せです」と笑顔で語ってくれました。

【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2024年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Yumeko.N
元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。