転勤辞令が出て、隣県に引っ越ししました。前の社宅で仲の良かったG子が、A子たちの引っ越し翌朝から子守りがてら手伝いに来てくれた際のお話です。
引っ越しの間の子供たち
A子には5歳の娘と2歳の息子Hがいました。
Hは旧宅に転居してから生まれた子供で、今回の引っ越しが初めての引っ越しでした。
旧宅の引っ越しの際、子供たちがいると危ないからと、友人のG子の家で子供たちは遊んでいました。
それまでも毎日、買い物からお風呂時間までG子と過ごしていたので、子供たちが泣くこともなく、引っ越しの夜もG子宅に泊まり新居へ出発しました。
女性3人で進む引っ越し作業
引っ越しには、転勤族だったA子姑も来てくれており、女性3人での荷開け作業は午前中に終了。
不足品の買い物も行い、新居で生活ができるようになりました。
生まれてから初めての転居に心配していた子供たちも楽しそうにしており、A子は胸をなでおろしました。
「おうちに帰る!」
夕方になり暗くなる前に帰りたいと、G子が帰り支度を始めると、事態が急変しました。
「そろそろ帰るね。また来るよ。」
G子が席を立つと、お気に入りのリュックを背負ったHがG子の手を取り、
「Hもおうちに帰る!」
と言い出したのです。
Hくんのおうちはここだよ? あっちのおうちに行っても何もないよ?
とみんなで言い聞かせましたが、
「G子とおうちに帰る!」
とG子から離れなくなるH。
いろいろと気をそらしたりしてはみたものの、Hは帰るの一点張り。
「連れて帰ってみるね。」
というG子の提案に、着替えを準備し持たせました。
バイバイと手を振る息子
見送るA子と姑に「バイバイ」と手を振り、うれしそうに車に乗るH。
本当に隣県にある旧宅の方へ帰っていきました。
翌日、G子の家に一泊した後、HはG子に連れられて新しい家に帰ってきましたが、泣きもせず、終始ご機嫌だったとのこと。
実は、旧宅でもあるG子の家では、G子の車から手を振りながら降りてきたHに、前日見送ったばかりの子供たちやママ友は大騒ぎになったそうで、2歳にして一人で外泊できる子だと褒められご満悦だったようです。
しかし、家財道具もなく、誰もいなくなった部屋をみて、引っ越したことを実感したのか、それ以来「おうちに帰る!」と駄々をこねることはなくなりました。
ようやく引っ越しが完了した出来事です。
【体験者:50代・会社員女性、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。