病院へ行くことは確かに面倒ですが、自分の健康のことを考えたら、そうも言っていられないはずです。筆者の父親は大の病院・医者嫌いでした。しかし、そんな父が大人しくなるような診断結果が下されて……。

超ヘビースモーカーの父

私の父は超ヘビースモーカーで、1日に1箱以上吸うほど。
自営業ということもあって、常にタバコを手元に置いているような人でした。

そんな父は、私が幼い頃から病院や医者が大嫌い。
昔、医者にぞんざいな扱いをされたことがあるらしく、自分から病院へ行くことなどほとんどありませんでした。

私が中学生の頃から、父は頻繁に咳をするようになりました。母には「タバコのせいだ!」と嫌味を言われていたのですが、全く意に介さず。
そのうち息切れが酷くなり、だんだんと呼吸が苦しくなっていったのです。

ついに搬送されて……

小児喘息の既往症がある父は、自分でもタバコが体に悪いと気付いていたはずなのに、どうしてもやめられず、咳をしていても「風邪だ!」と言い張っていました。

しかしある時、急に呼吸困難の発作を起こしました。
私がちょうど家にいるときだったので、すぐに救急車を呼んで病院へ。
処置をしてもらってだいぶ楽になったようでしたが、医師からは「肺気腫」と診断されました。

絶対ダメ

肺気腫とは、主にタバコの煙が原因となって肺の機能が著しく低下する病気のこと。

医師からはタバコは絶対にやめることを約束させられ、タバコが大好きな父はションボリ。
確かに、深呼吸をすることが難しくなり、咳もひどく、時には息苦しそうな症状が頻発するようになっていました。
その後も発作を繰り返したため、残念ながら父は大好きなタバコを吸えなくなってしまったのです。

その後

その後も何度か大きな発作を起こすことがあり、そのたびに一週間ほどの入院を繰り返しました。
結局、病気が進行して父は50代半ばで仕事を辞めることに。
もっと早く病院へ行っていれば、もう少し症状も軽かったろうにと母と私たちは呆れていました。

父は7年前に他界しましたが、最期まで「タバコ吸いてぇなぁ」と懲りない様子に、思わず「いい加減にしなさい!」と怒ってしまったことを少しだけ後悔しています。
今頃は空の上で、思いきりタバコを吸っていることでしょう。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2024年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。