予期せぬ入院と不安な日々
私は、とある病気で急遽1週間入院したことがありました。入院中は、家のことや子どもたちの学校のことなど、母や義母にいろいろサポートしてもらいました。私自身は、入院に至るまで検査や手続きで忙しくしていましたが、病気のことで不安な日々を送っていました。
病気について誰にも話す気になれませんでしたが、送り迎えで心配をかけてしまうと、子どもが通う保育園や小学校の先生には伝えていました。
授業参観での喜びと突然の質問攻め
そして無事退院し、しばらく経ったころに小学校の授業参観がありました。入院前は授業参観に出席できるかどうか不安でしたが、退院後の体調もよく、子どもも「絶対来てね!」と楽しみにしてくれていたので、参加しました。授業参観では子どもの張り切っている姿がかわいく、来てよかったと思いました。
授業が終わり、教室を出たときのことです。突然、保護者のAさんが私に「ねぇねぇ、入院してたんだって? 何の病気? どうして入院したの?」と大声で聞いてきたのです。周りにいた保護者たちも振り向くほどの大きな声でした。
私は退院したとはいえ、誰にも病気のことを言いたくなかったし、そもそもこのAさんとはまったく親しくありません。私は苦笑いをしつつ話を濁し、その場を逃れようとしました。
無神経な保護者に冷静な対応
するとAさんは続けて「ねぇ、何の病気? うちの子が気になって何度も聞いてきて困るんだけど」と言ってきたのです。
私は「この状況のほうが困るんだけど」という気持ちでいっぱい。「おたくのお子さんの疑問には適当に答えておけばいいって。本人が嫌がってるのに病名聞いてくるってなんなの……」という状態。
本人が言いたがらないのに、病気のことを根掘り葉掘り聞くというのは本当にナンセンス。プライバシーに土足で踏み込んでくるような配慮の欠けた保護者とは関わりたくないと思ってしまいました。
私は「お子さんの心配りに感謝します。今は元気です」と笑顔で答え、その場を離れたのでした。
その後、Aさんとお子さんの間でどんな話になったかは知りませんが、もう私の病気のことについて聞いてくることはありませんでした。
【体験者:50代・会社員、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。