あり得ないクレーム客
友人のFはショッピングモール内の大型本屋で働いています。ある時アルバイトの男子学生がレジに入っていると、ものすごい勢いでレジに向かってやって来るお客さんがいました。
何事かと思って近くで見ていたF。アルバイトの男子学生と客のやり取りを見守っていると、先日ここの本屋で購入して読んだ小説が全然面白くなくて、内容が酷かったとクレームをつけてきたのです。
その客は、小説の細かい設定や内容に至るまでを、そのアルバイトに文句を言っては、つまらなかったことをアピールしてきました。
当たり前ですが、小説の内容に対して本屋にクレームを言われてもどうしようもありません。
小説が面白くなくて返品!?
そして、読んだ小説の文句を散々言ったあとに、あまりにも面白くなくて残念だったので小説を返品したいと言ってきたのです。
「えっ!? 一度読んだ本を返品?」Fは自分の耳を疑いましたが、その客は購入時のレシートまで出してきて、真剣に返品を依頼してきました。
落丁や乱丁などの不備があれば別ですが、一度読んだ本なので返品できるわけもなく、アルバイトの男子学生も、そういった理由での返品はできないときちんと伝えていました。
当然の対応に安心していると、Fはまたしても自分の耳を疑うことに。
アルバイトのまさかの対応
引き下がることなくクレームを言い続ける客に、アルバイトの男子学生が困っているだろうとFが助け舟を出しに行こうとした時です。
対応していたアルバイトの男子学生が、「そこの古本買取店で売ったらどうですか?」と提案したのです。
クレームを言ってくるお客さんはたまにいて、その際のマニュアルもありますが、アルバイトのまさかの対応には驚きつつも思わず笑ってしまいました。
その客もその意見に納得したようで「なるほど……」と、小説を手にしたままそそくさと帰って行きました。
確かに、お店の向かいには古本買取店があります。一度読んだだけの新刊の小説なら高く売れるかもしれませんね。
その日の店の日報には、客からのクレームがあったことは記載されていましたが、古本買取店を勧めたことは書いていなかったので、Fも内緒にしておくことにしました。
【体験者:30代・女性本屋店員、回答時期:2022年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kumi.M
保育士歴25年。ママたちの修羅場、バトルを多数目撃し、その経験を元にコラムニスト活動をスタート。アラフィフ主婦となった現在は、ママ友・育児・嫁姑問題などを、幅広い人脈を駆使してインタビューを行い、執筆する。