先輩・Wさん
私が以前勤務していた会社に、とてもお金にだらしないWさんという先輩がいました。
Wさんは物欲が凄く、欲しいものはすぐにでも買わないと気が済まないところがあり、同じくらいの給料のはずなのに、驚くほど高価な持ち物をたくさん持っていたのです。
買ったばかりの洋服やバッグ、靴などを、見せびらかすように「どう?」と感想を求められることがとても苦痛で、私たちは少し距離を置いたお付き合いをしていました。
ボーナス
ある年のこと。
夏のボーナスで、私は同僚のS子と旅行をすることにしました。
行き先は屋久島。
久しぶりの旅行に、私もS子も楽しみでいろいろな計画を練っていました。
すると、どこからかその話を聞きつけたWさんは、昼食中の私たちのところへ来て、どこのホテルに泊まるのかとか、飛行機はどこの会社なのかなど、根ほり葉ほり聞いてきました。
最終的には「それで総額はいくら払うの?」と言い出し、私たちが戸惑っていると「国内の旅行だったらボーナス半分くらい余るわよね? 少しお金貸してくれない?」と言ってきたのです。
私とS子が驚いて黙っていると「私はあなたたちに仕事教えてきたでしょう? それくらい良いじゃない!」と一方的な屁理屈を言い出す始末でした。
自分勝手な理由
私はWさんにお金を貸す気など毛頭なかったため「お金の貸し借りはやめましょう。Wさんだってボーナスもらうんだから良いじゃないですか。」と言うと「ボーナスなんて全部カードの支払いでなくなるわよ! せっかく新作の時計を買いたかったのに!」と激怒。
あまりの自分勝手な言い分に私とS子は呆然としてしまいました。
2人で呆れた顔をしていると、Wさんは「もういいわ!」と捨て台詞を残して去って行ったのです。
え? 退職?
その後、Wさんは私たちをあからさまに無視するようになったのですが、ある時いきなり退職したと聞かされました。
Wさんの同期の方の話では、借金で首が回らなくなり、自己破産をすることになったそうです。
闇金のような危ないところからもお金を借りていたらしく、会社にも連絡が来て、上司に知られてしまったことで居づらくなったとか。
私たちがWさんに言われたボーナスのことをその先輩に話すと「そんなんだから借金地獄になるんだよ。」と一言。
確かにあの金銭感覚を正さない限り、これから先もお金に振り回される人生になるだろうなと思った出来事でした。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。